ぷわりと飛んで、ぱちんと弾ける。さらさらと流れる飛沫は空気と同化して、なにも残らない。けれどまた、ぷくりと膨らませれば、それはぷわりと飛び始める。いくらでも、いくらでも、それは複製されて、大空の色を反射させながら、はじけるのだ。

「…ニトロ、入れたら」

綺麗なこれもたちまち爆発物。平和の象徴は、途端に戦争武器へ。醜い。ああ、醜い。夢の詰まったこの泡も、嫌われてしまうのだろう。元々は、子供の遊び道具だったのよ、なんて語られる未来がくるのだろうか。そんな未来、いや、だなぁ。

ぷくりぷくりと、はじける泡をと切らせないように複製し続ける。学校なんだけど、なにしてるんだろうね。わからないよ。けれど、カバンに入ってたから、やりたくなっただけ。友達もいないぼっち飯ちゃんが、一人ベンチでしゃぼんだま。可哀想な、子。変な想像までして、本当に可哀想な子。わあわあと聞こえる、青春を生きている声を背にしながら、もう一回。ぷわりぷくりどかんぱちん。あらあら大変、全部、割れちゃった。空気が変わって、割れちゃった。

「ここ、学校なんだけどなぁー」


ほうらまたもや、どかんと一発、大きな破裂音。


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