空が青くて、綺麗な日だったと思う。もくもくと、綿菓子のようにふわふわした雲を視界にとどめながら、丁度いい日当たりで微睡む時間。

   ―――― ―――― ― ――……… …

おとが、聞こえた。


「…なに、今の、おと」
「え!?腹の音聞こえた!?」
「え?」
「え…うわ、墓穴ほっちまった!」

やべえ恥ずい、とこぼす言葉通りに彼の耳は真っ赤だ。そんなところもかっこいいとかかわいいとか聞こえるけど、それよりもはやし立てる声の方が目立っている。

…なんか、全然関係ないところで巻き込んでしまった。

滅茶苦茶からかわれている彼に申し訳ないなと思いながらも、先ほどの遠くから聞こえた音を考える。遠く、空に響き渡るように反響した、空気のようにあっけなく軽い音。まるで空気を詰め込んだビニール袋を叩き割ったようなその音に不快感を感じなかったわけではないが、けれどきっと、この音が日常になってしまうんだろうなぁと思うと、やはり関係ないこととして処理できた。



「ねぇ聞いたぁ?京子、不審者に襲われたんだってー」
「えぇ?なにそれ、こわぁー…」
「あ、それねぇ、なんでも、パンツ一丁で告白してきた子だってー」
「はぁ?なにその告白、暑すぎて引くわー」
「あは、普通に罰ゲームかなんかでしょ?やだわー男子って、」
「罰ゲームってすぐにわかるけど、フツーに沈むよねぇ…ほんっと男子って自分勝手!」

ぎゃあぎゃあと文句を言い合う女子グループの会話にそっと耳を傾けつつ。ふむふむなるほど、どうやら原作が始まったらしいな。って早すぎない?まだ夏ってほど夏でもないですよ?いやまぁ、制服は半袖だけどね。

それにしても、ひどい言われようだなー。
ま、これがフツーの評価では、あるんだけどねぇ


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