夏が訪れるまでの間の時間。その間に、あの舞台への準備がゆっくりと、確実に整っていく。
一年生のアイドルの噂。部活に入って人気絶頂中の期待の新人君。そして、何をやってもダメダメな、子の話。

同学年だけで言えばこんなもんだ。かの風紀委員長の噂は、はじめから全員知っているらしい。まぁ実物だって、校門前に普通にいるし。なんなら処すシーンだって見る気になれば毎朝見れるし。好んでみたいものじゃないけれど。あれは、見てて、とてもいたい。

「…はぁ、」
「どうしたー?雨宮」
「…別にどうもしてないよ、」
「ん、そっか」

ならいいわ!と二カッて笑って、前を向く。この間からどうして絡んでくるんだろう。別に、仲良くもないのに。女子の視線が、すこし胃にくる。こわ。

あー、早く席替えしたいなぁ。
散りばめられた桜の色を目に映しながら、そっと日陰に避けた。


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