「何用に参った。豊臣の忘れ形見が」

「ヒヒヒッ…よかったなァ毛利、凶王三成がこの場にいなくて、ナ…」


不気味に笑う豊臣の忘れ形見…大谷吉継は、少数の軍を率いて我が城へとやってきていた。あの報告の後、文が送られてきただけまだ良しとしよう。何もなしに押しかけてきていたら即刻排除していたぞ。
…まぁそんなことしたら、かの凶王三世がお怒りになる、やもしれんがな。


「…余談はいい。簡潔に申せ、我は貴様と違って暇ではない」

「ヒィッヒヒ!ワレを暇人と例えるか、そうかソウカ。なぁに、毛利よ…手を組んで欲しかっただけのこと。主も、徳川にいいようにされるのは望んではおるまい?」

「…我が望むは中国の安泰のみ…貴様らのような子供の喧嘩等、眼中にないわ」

「主は面白いことを言いやる…その子供の喧嘩に、強制参加させられるのと自分から横槍を入れるの…どちらが良い?優しいワレが選ばせてやろう。」


どこが優しいと言うのか…言葉裏に潜む意味を読み取った上で思うが、自分も人に言えぬようなことをしでかしてる自覚はあるので言葉にすることなく飲み込むことにする。

いいだろう。予想通りに過ぎ去る茶番に、乗ってやろうではないか。


「………くだらぬことには巻き込むな。それと、四国は我がどうにかする。貴様は何もするな。絶対に。」

「…ヒッヒィッ…よかろう。四国のアレと主の仲は良好だと聞く…だが、アレは東照とも仲が良かったはずだが?ワレが手伝ってやってもよいのだぞ?同胞…」

「貴様…我を愚弄しているのか?アレはどうにでもなる。心配することはなに一つない。貴様は子供の心配でもしているがよかろう…仲良しこよしの相手でも増やしておけ。」

「…後日、表向きの同盟に来る故、そのつもりでナ。同胞。」

「フンッ…中国は、我のものぞ」


同胞なんぞ、思っていない癖に。よく廻る舌だ。



奪い返せば元通り
(周りを見渡せ。どこが、″元通り″であるか。)

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