「長曾我部」

「お、毛利じゃねぇか!どうしたんだ?」


海にゆったりと垂らしていた糸を引き上げて、声をかけてきた毛利と向き合う。
こいつとは昔からの馴染みで、両親は…というか代々長曾我部家と毛利家はいがみ合ってきた仲だと言うほどに仲が悪かった気がするが、今現在毛利との仲は良好と言っても差し支えないくらいに仲が良かった。
こうして国主が互いに行き来するほど、な。


「どうしたもこうしたもない…貴様は時刻というものを知らないのか」

「あ?時刻?………今何時だ?」

「昼にこちらへ参ると文を出しておいただろう。貴様の目は節穴か。見よ、あの日輪の位置を」

「…俺太陽の位置くらいで時刻わかんねぇわ、すまねぇな」

「…………………………貴様………」


あ、もの凄い蔑みを感じる。信じられないようなものを見る目だこれ。毎回思うけれど、毛利のが目線が下なのになんでこんなに上から見下されているような感じに陥るのかね…こええじゃねぇか…。


「そんな睨むなよ…魚食うか?」

「せめて切ってよこせ」

「食うのかよ…」

「食わぬとは申しておらぬだろう」


しれっと言い切ってしまうその姿はまるで女王様のようだった。



欲しいものは奪い取って作り上げた
(なんで仲がいいのかなんて、もう忘れてしまった。)

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