「毛利!遅かったな!」
「…会談は本日のはずだが何故全員揃っておる。貴様ら自国はどうした。」
「だってもう大丈夫だろ?あとは関ヶ原で戦うだけだろ?」
「………どこからそのような自信が湧いてくるのか我には理解できぬ否したくもない」
頭を抱える毛利に、え?と返すと今度は完全に呆れられた。どういうことだろうか。
「ヒヒッ遅かったなぁ」
「来てやっただけでも有難いと思うがよい」
「毛利ィ!貴様、遅れておいてその言い分はなんだ!!」
「我は貴様らがよこした文通りに期間を守り来ただけのこと。期間の変更があったならばそのように文を嗜めるのが礼儀というものであろう、阿呆か」
「貴様…!!」
「お、御二方、落ち着いてくだされ…!」
「フンッ、落ち着いていないのは貴様らの方であろう。くだらぬことを申すな」
「毛利ィイイ!貴様ァ!!」
ビュッと空気を切りつけながら毛利の首へと刀を向けた石田に対して、これはやばいとさすがの俺でもわかった。毛利もあんな言い方しなくてもよぉ…ったく。相手が怒るってわかっててやってんだから本当タチ悪ぃぜ。
「石田落ち着け!毛利もンなひとりぼっちが寂しかったからって煽るなよ、」
な?と言いながら肩に手を置けば、なぜか全員が黙り込んだ。 ……ん?え、俺なんか変なこと言ったか? 全員の視線が俺に集中しているのがわかって、でも理由がわからなくて、だから毛利にアイコンタクトで助けを求めているんだけど、うん、なんか、物凄くゴミどころかそこらへんにいる忌まわしい虫を見るような目で見られてるんだけど、えと、なんだ。無性に謝りたくなってきた。
まぁ俺が謝る前に、ぷっ、と誰かが吹き出したのをきっかけに、ドッと笑い声が響き渡ったんだけどよ。
「ぶっ、くく…ッ!ちょ、鬼の旦那さいっこう…!」
「ヒィッヒヒィッ!そうかそうか同胞、主はひとりが寂しかったのであったか…ッ!やれ、気づいてやれなくて、すまなんだ…ヒヒッ!」
「………焼け焦げ」
「なんかよくわからねェけどこんなところでその技発動するな毛利ぃぃいい!」
バッといつも通り武器を取り出し、ポーズを作りはじめた瞬間に捕える。ええい離せ、我はあやつらを焦がさなければ気がすまぬ!とかいつになく声を荒げている毛利に少し感動しながらも、その時間は、平和でしかない時間は淡々と過ぎていった。
足先から蝕むように (もうすぐそこに、悪夢は笑いながらやってくる)
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