どうやら僕は僕の想像以上に嫌われていたらしい。嘘だけど。


「……………。」


ちょいと席を立ってトイレに行っている間に、なぜか机が酷く汚くなっていた。しかもご丁寧に油性ペン+彫ってあるとか、どんだけ用意周到なんだ。大変だったろう。彫刻等で彫っただろう字は結構読めないものが多い。何書きたかったんだろう。少しだけ気になる。どうでもいいけど。

ニヤニヤしてる、きっとこれをやったであろう人間達を横目で見つつ特に表情も変えず普通に座れば、舌打ちが聞こえる。


その後先生が来ても僕に目をくれるだけで「交換してこい」とは言ってくれなかった。悲しいなぁ。今更だけどこの人担任だった。名前覚えてないけど。

先生より極道とかそっちのヤのつくお仕事やっていた方が納得できるその先生は、それから1回も僕に視線を向けることはなかった。もちろん、こちらから声をかけても、同じだった。





まぁ、


「どうでもいいけど。」

「なにがだ」

「んー彼女以外全部が、かな?」

「そうか」

「そうだよ」

「私も秀吉様、半兵衛様、刑部以外どうでもいいな。」

「多いな」

「そうだな」

「でも自分は入ってないんだな」

「貴様も同じだろう」

「それもそうでした。」

「ところで貴様は誰だ」

「同じこと返してもいいかい」


語尾に確実に「?」マークがついてなかったが、まぁそれは僕もなので気にしないことにする。なんか前髪が素敵に凄い感じだなー、どうやって固めてんだろーと思っているとその人間は「石田三成」と言ってきたので、俺も「田中太郎」と返した。一発で嘘だと見破られた。なぜだ。

その後ちゃんと本名を告げれば、なぜ嘘をついたと聞かれた。特に意味はないことを伝えたらそうかとだけ言っていた。一体本当になんなんだ。


とりあえず俺の学年は俺のこと全員知っていると思っていたが、どうやら違うらしい。
なぜだかこの目の前の男からは、同類の臭いがした気がした。



僕は誰にも必要とされていないんだ。
(まぁ僕と違って、凄く綺麗そうだけど)
(なんの話だ)
(そこに妖精が飛んでて…)
(嘘をつくな)
(すいまそん)


僕は誰にも必要とされてないんだ。