バンダナ君と意気投合した僕だったが、他3人とは余計距離を置かれてしまった。なんてこったい。
本当は呼び出しの理由とか用件とか聞くために家に招待しようと思ったのだが、バンダナ君が言うに「荷物多いし、痛んじゃうから今日は帰る」らしい。確かに、と思ったんだが鉢巻き君やW眼帯君達はいいのか、と聞いてみれば、まず鉢巻き君は荷物持ちで帰る。眼帯君はこじゅろーとか言う人にバンダナ君が買った卵を届けに帰らないといけなく、必然的に一人となる銀髪眼帯君は一人で行ってもなぁ…つーことで皆帰るなら自分も帰るらしい。一体何だったんだ。

明日は魚の日、また一緒に行こうとバンダナ君と約束してこの日は終了した。




そして次の日普通に学校に登校したのだが、何故だろうか?昨日より一層視線の鋭さが増している気がする。というか増えてないかこれ。
おかしいなぁ…昨日は普通に買い物して皆と別れて家に帰ったのに。と思いつつ教室に入れば見知らぬ人に思いきり睨まれる。誰だろう、こいつ。

僕が不思議そうに立っていれば、見知らぬ人間に腕を捕まれ引っ張られる。痛いなぁと思ってる内に力任せに人が輪になっていたところに追いやられた。転ばないようステップを踏めば、どこからか舌打ちが聞こえた。気がした。

そして人が輪になっていた真ん中を見れば、酷く汚い机が置いてあった。


「…で、なに?」

「なに?じゃねぇよてめぇ!これやったのてめぇだろ!」


これ、と見知らぬ人間が指差したのは汚い机。なんで僕がこんなことしなきゃならないんだろうと思っていると、人間の女の泣き声が聞こえた。

あれは、だれだろうか?

泣いてる人間に心当たりがなく、首を捻っているとその人間の周りにいる女の集団がなにやらキーキー威嚇してくるのがわかった。子猫を守る親猫みたいだ。


「あんた超サイテー!」

「部が悪くなったからって嫌がらせ?幼稚ね、」


あの人間はなにわけのわからないこと言ってるんだろう?とりあえず、なぜかこの机を汚くした犯人が僕だと思われてることだけはわかった。どうしてそうなった。
でも前世と違ってただの鬱憤晴らしにクラス一丸となって僕をいじめてないだけマシだろうか?いや、今世では変わりにクラスだけに収まりきってない。どっちもどっちじゃないか。

とりあえず、否定だけはしておこう。


「とりあえずなぜこれの犯人が僕に断定されているのか教えて貰っても?」

「は?てめぇしか有り得ねぇだろーが!」

「だからなぜ僕しか有り得ないのかと聞いているんだよ、例え本当に僕がやったとして僕がやっているところを目撃している人はいるのかい?そしてこれを行えばすぐ犯人が僕だとばれることがわかっているのに僕がこれを行うメリットは?
とんだ大馬鹿者かかなりのドM以外僕には考えられないな。」

「っ……でも、」

「ああじゃあこう言おうか、
犯人を僕だと思わせるために第三者、又は被害者な君の自作自演のどちらかだ。」

「…!酷い、どうして私が…!」

「っ!てめぇ!」

「僕は一つの可能性として上げてみただけさ。勿論僕本人が犯人で、あたかも第三者が行ったように聞こえさせるように言葉を紡いでいるだけかもしれない。
まぁ真実は犯人のみが知るというやつだね。」


どこぞの推理小説かのように、ながったらしい言葉の羅列を並べていけば皆は押し黙る。それは僕が正論を言っていて何も言えないのか、それともいつも机に座って本を読んでる根暗野郎がこんなに滑舌だったことに驚いているのか。

又は、ただ言葉が見つからなくて何も言えないだけなのか。
まぁ僕には知るよしも無いけど。


キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。最近チャイムで終わりを告げることが多いな、と思いながら席について先生が入ってくるのを待つと、先生は酷く汚い机に座る人間を見て「交換してこい」と言った。先生がちらりと僕を見たのは、気のせいだと思いたい。



「だって僕はね」
(転生者、なんだよ)
(世界から拒絶された転生者)
(君達より大人なのさ)
(だから諦めも早いんだ)


「だって僕はね」