どーやら僕はこの年齢になるとどうやっても嫌われてしまう運命にあるようだ。なんて嫌な運命なんだろうか、彼女が絡んでいるならとても最高に嬉しい運命だというのになんで彼女もいない、むしろ全然知らない赤の他人なんかに嫌われているのだろう?本当に誰だか思い出せないや、名前見ればいい話なんだけどほら、なんていうんだっけ?まぁ頑張って思い出せば脳にいいよーって話。ただそれだけ。

それからまぁ嫌悪とか憎悪とかの視線を浴びつつ、普通に過ごしてた。
生憎友達というのを作っていなかったから特に変わりない日常だった。本当、性別とメンバー以外は前世と全く同じだ。ああでもやり口も違うか。そう考えると結構いっぱい違うことがあるなぁ、ああ今思えば男の体っつーことで容赦なんてないリンチに会いそうだ。痛いのは嫌だなぁ、女の子からやられるネチネチとした嫌がらせも嫌だったけど暴力はもっと嫌だなぁ、痛いし。なにより僕自身弱いし。

しょうがない、呼び出しは全部無視しよう。そうしよう。


と、思ってたのになんで僕はこんなところにいるんだろうか
初日呼び出しとか君達行動早過ぎやしないかい?


「何用?今日は野菜の日だから早く買いにいかなきゃいけないんだけど」

「Ha!余裕ぶってられんのも今のうちだぜ!」

「いや、日常生活かかってるんだけど。結構これ死活問題なんだけど。」


あと君誰?はこの状況で聞けないだろう。眼帯君(仮)以外にもなんかいるし。誰だか全くわかんねぇや、とりあえず銀髪眼帯と鉢巻君とバンダナ君がいるのはわかった。バンダナ君はやけにそわそわしている。僕もそわそわしている。たぶんバンダナ君と似たような理由だと思う。しらないけど。

早くしてほしいなー野菜売り切れちゃうなーもう帰っていいかなーてか君達誰かなー逃げていいかなー早く用件言ってほしいなー卵セールだったなー買って帰らないと母親に怒られるんだけどなーもういいかなーいいよねーよし、帰ろう。


「卵買わなきゃいけないから僕帰るよ用事は明日でいい?あ、明日は魚の日だ。まぁまた今度でいいかないいよねいいだろう。早く買いに行かなきゃ売り切れちゃうんだよそうすると僕怒られちゃうんだよ君達には関係ないだろうけど僕には死活問題なんだああ急用なら今帰りながらでもいいし僕の家でもいいよとりあえず買い物に行かせてくれ行かせてよ行っていいよね行くからじゃあね」


早口で用件を言って踵を返して走りされば、彼等は「ちょ、待てよ!」とか言って追いかけてくる。ああもうこんなに時間がたっちゃったじゃないか。売り切れてたらどうしてくれるんだ、ああまた父親に殴られる。
そんなことを考えながら後ろを完全無視して走っていると、僕の横をバンダナ君が通り過ぎる。ちらりと顔が見えたが、それはやはり僕と似たような顔をしていた。と思う。

きっと彼も卵が買いたいんだろうな。
そう結論付けて僕もバンダナ君に追いつけるようスピードを上げた。





「以上で卵は終了でーす!」

「(ギリギリ…)」


僕とバンダナ君で卵は終了だった。本当によかった。というかバンダナ君なんで1人2個までが上限なのに8個も買ってんの?ああ鉢巻君と眼帯君と銀髪眼帯君の分か、てかあの3人遅いなぁ。

常任じゃ、というより通常モードじゃありえない速さで走ってきたバンダナ君と僕に追いつけるはずもなく、他3人はいまだ追いついてくる様子はない。あ、次野菜つめ放題か。行かなきゃ。


その後僕とバンダナ君が凄まじい連携プレイをしてる間に3人は追いついてきたみたいだけど、買い物中の主婦に夫が勝てるはずもないように3人も僕とバンダナ君のペースに追いついてこれなくて結局潰されてた。あ、今あの主婦尻さわったな。



嫌われた僕
(ふぅ…ありがとう、君のお陰で今までにないくらい最高な買い物だったよ)
(こっちこそ、いろいろありがとうね。今度一緒に買い物行かない?)
(是非とも。)
(((ゼェハァゼェハァ…)))


嫌われた僕