あれから特に何気ない平凡ないつもの日常を過ごしていた。と、言うのは少しおかしいかもしれないが僕にとってはこれが何気ない平凡な日常なので何も言わないことにする。あれからいつも通り長髪君と喋ってバンダナ君と買い物行ってお昼ごはんに絆君に強制連行され絆君と銀髪君のコントを見ながらご飯を食べる。W眼帯君達から放課後呼び出しくらったり朝絡まれたりもちゃんとしている。あの知らない子も嘘に嘘を並べているようだ。

そしてそんな日常が、これまた平凡な日常に押しつぶされる。


「……お前、最低だな。」


酷く鋭い視線、嫌悪の顔、憎悪の気配。
今にも殺さんとばかりに顔を歪めながら僕を見ている人間の姿だった。


「なんのことだかよくわからないな」


惚けたわけじゃない。状況がわからない。普通に帰って普通に登校してきたじゃないか。僕は何一つおかしなことは犯していないぞ?なのに、目の前の人は殺気と強くするばかりで僕の言葉には何一つ耳を傾けようとしない。ああもう全く。前にも言った…いや、思った。か。思ったけど、一つを盲信するのはろくでもないことだよ。一つのことばかり信じて真実がわからなくなり過ちを犯す。ああなんて愚かで可哀想な人間なのだろうか。理解できなくはないよ。ただ僕は全ての意見を聞き、それでいて一つに絞り込んでいるんだ。君達は一つの意見しか聞かず一つの意見しか信じてないだろう?他の可能性には目なんて傾けない。1人の人間を守ろうとするその心意気は綺麗なのかもしれないけど僕にとってはただそこらへんで死んでいる虫を同じくらいの価値しかないよ。


「site!てめぇ、自分が何したかわかってんのか!!」

「わからない」

「っっ…!…もしかして、とか思った俺がfoolだった。お前はただの最低野朗だ。」

「僕は何を指摘されているかわからないと言っているのに理由も言わずに1人の人間を追い詰めるきみの方が最低だと思うよ」

「て、めぇ…よくあんなことしておいてしらばっくれてられんな!」

「あんなやつと同じクラスメイトだったとか…恥じでしかないんだけど。ありえない。」


ありえない。そう言った人間に俺も俺もと言った感じで他の人間も僕を罵倒し始める。
だから、さっきも言ったとおり何を指摘されているかわからない人間にそんな罵倒しても意味ないんだってば。まずは理由を言ってくれないかな?まぁ僕の話なんて聞こうとしない人間だから言わないけど。


「なんで学校これんの?ありえねー」

「てか暴行加えた上仕返しされてるのに今度はやっちゃうとか…ないわー」

「学習しないのかしら?猿の方がまだまし…ああ、猿に失礼ね。これと猿を比べるなんて、猿が可哀想だわ」

「てゆーかさ、これ以上  ちゃん虐めるのやめてくんない?ああ、学習できない頭じゃ何言っても無理だったか。ごめんね?」

「体にわからせるしかねーんじゃねーのぉ?」

「あは!同じ目にあわせてみるとかぁ?男子頑張ってよー!」

「はー!男相手とか全然やる気でねー!」

「つか俺の息子が穢れるし。」

「もともと穢れてるでしょ」

「秋元ひっでー!」


…なんかよくわからないけど一応理解はできた。僕があの見知らぬ子を犯した。という話になっているらしい。ああだから今日は一つ空席なのか。どうでもいいけど。そして次は僕を同じ目に合わせようとしてる、ね。いやまぁどうでもいいんだけど。ああでもフェラはしたくないなぁ。というか痛いのは嫌だなぁ。つまり犯されたくはないなぁ。よし、逃げようか。

もはやどうでもよくなりすぎてそこらへんにある無機物と同じ存在ぐらいにしか認識できなくなっていた僕は、どれがだれでいつも絡んでくる眼帯君達がどれなのかもわからなくなっていた。と、いうかいつも絡んでくるって誰が?眼帯?なにそれ。


「…ああ、チャイムが鳴ったよ。席に座らなくていいのかい?」


僕がそう言えば何人もの舌打ちを小さな罵倒。だが皆ちゃんと席に座るということはいい子なのだろうか?それともいい子を気取りたいだけなのだろうか。はたまた担任が怖いだけなのか。担任誰だか忘れたけど。

小さな悪口と共に、僕は席についた。



死んでしまえばいいと、誰かが僕に囁いた。
(ああそれじゃあお望みどおり)
(僕が死ぬために)
(殺してみろよ)
(まぁ)
(どーせできないだろうけどね)


死んでしまえばいいと、誰かが僕に囁いた。