夜。僕はとある計画を一つ。立てていた。
計画といえるほど凄いものでもなんでもないのだが、まぁ一応は計画だ。その計画を頭で簡単に立てながら僕はノートに文字を書く。手紙を書いているのだ。ノートの中に。まぁつまりは遺書だ。え?こんな簡単に言っていいのかって?隠してどうするの。遺書ってのは誰かに見てもらわないと意味がないんだよ。そろそろ、終わらせたいからね。


「…使わないですめば、万々歳ってところかな。」


ペンを置いてできをみる。まぁ遺書のできなんて知ったこっちゃないけど。とりあえずノートを閉じて、机の引き出しの中に入れる。わざと学校に置いていってボロボロになってしまった教科書と一緒に。


「…3人は、どうしようか。見かけて助けにこられても困るんだよな…。バンダナ君にその心配はないからいいんだけど…。まぁ、別にいいか。」


どうでもよくなって、思考を停止させ床についた。



▽△



「あ、おはよう!」


朝学校へ行けばいつも通り長髪君に会った。いつもいつもここで待っていて暇じゃないのだろうか。そして僕に絡んでいるということで何か言われたりしていないのだろうか。それに懲りて僕から離れていってくれれば最高なのにな。


「家康に会ったんだろ?面白いやつだって言ってたぜー!」

「へぇ。よくわからないな。人の価値観ってやつは。」


そこそこに喋りながら学校へ行く。いつも通りのことだから何の心配もいらない。話かけてきたら僕だってちゃんと会話する。どうでもいいから内容はほとんど覚えてないけど。



それから長髪君と別れて教室へ行く間にバンダナ君とであった。


「お、今日魚の日だけど行くの?」

「もちろん」

「じゃあまた一緒に買い物しよっか。いつも通り俺様の分とっといてね?」

「僕の分もな」


いつも通り放課後の打ち合わせをし、去る。バンダナ君と買い物をするのは好きだ。あれをとるためにそれを捨てる、ってことにならないからね。



そしてお昼。お弁当を食べるために鞄から弁当を取り出していると絆君がやってきた。右腕に暴れまわってる銀髪君もいる。なぜかは知らないけど僕も仲間入りしてしまった。


「三成!ご飯はちゃんと食べないとだめだぞ!」

「いるか!そんなもの食べる暇があったら秀吉様に尽くす!」

「…なんで僕がここにいるのか20文字以内で説明してくれないか」

「絆の力だ!」

「8文字…しかも説明になっていない、だと…」


びっくりするぐらいかみ合わない会話で過ごしたお昼時間。銀髪君と絆君は単体じゃないと言葉が通じない…いや、絆君は単体でも通じないか…ことが判明した。とりあえず絆君と銀髪君のやり取りは面白いと思った。



▽△



「いやぁ…大量大量♪」

「やっぱきみと買い物するのが一番合理的でいいね」

「利害一致で交換できたりするもんねー♪」


今日は放課後呼び出される、なんてことはなく普通にバンダナ君と一緒にお買い物をした。今は戦利品を持って家に帰っている最中だ。


「そういえばさー石田の旦那とかと仲いいじゃん?」

「いや別に」

「昼ごはん一緒に食うのは仲良いって言わないのかよ…」

「あれは無理矢理」

「そう?でも楽しそうだったけど?」

「………。」


確かに面白かった。特に2人のやり取りが。でもやっぱりあんな風に過ごすのは好きではない。自分が介入するということが嫌なのだから。

ああ、でも

無意識のうちにくすり、と口元に弧をかき笑みを作っていた僕を見てバンダナ君は不思議そうに、それでいて驚いたように見ていた。まぁ普段表情なんて変えないのだから当たり前なのかもしれない。


「…へー、あんたでも、笑うんだ」

「…僕だって人間さ。表情も感情もあるんだぜ?」

「…?」


訝しげに見ているバンダナ君から視線を逸らし、近くなった自分の家を見る。ああ、もうお別れのようだ。

バンダナ君に「じゃあ。家、近いから。ばいばい。」そんな感じのことを告げて家へと向かう。バンダナ君が背後からかけてきた声に、僕は口元を歪めながら、最大の嘘を吐き出した。



「 ああ、またな。 」



居ても居なくてもいい存在なら、居ない方がいいでしょ?
(最後に見たバンダナ君の表情は)
(青ざめていたかもしれない)


居ても居なくてもいい存在なら、居ない方がいいでしょ?