あれから、無理矢理嘘を嘘で固めてさらに嘘を塗りたくった、結構穴ぼこだらけの言い訳。それを普通に信じる奴等の気を知りたくなった。
そういえば、忘れていたんだけど。僕は“学年中”じゃなくて“学校中”からの嫌われ者になったらしいよ。もちろん、中には嫌っていない者も僕を知らない者も噂自体聞いていない者もどうでもいい者もいるんだけどね。ただ、僕とあの知らない女の子を知っている人達は基本僕のことが嫌いかな。ああ、1人例外がいたけどまぁどうでもいいや。


「お前が最近三成や慶次が知り合ったという嫌われ者の無人か?」

「…確かに僕は無人だけどその2人に僕の名前を言った覚えもないし君とは初対面なはずなんだけどなぁ」

「ははっ、確かにわしとお前は初対面だ。ちなみに三成はお前の名前は知らなかったが慶次は知っていたぞ?と、いっても大体にして嫌われ者といって最初にでてくる名前が必ずといって程お前だったからわしも覚えていただけなんだがな」


余計なものはさっさと排除してしまう記憶を探ってみるが、やはり全くと言っていいほど覚えがない。大体僕の記憶の約半分は彼女を覚えるためだけにあるんだ。以前は70%くらいだったのだが最近バンダナ君とW眼帯君。鉢巻君と僕にやけにくっついてくる長髪君と銀髪君を覚えたから半分くらいしか彼女を覚えるための機能に回せなくなってしまった。前は覚える必要性皆無だったから何も覚えてなかったのに。ああなんて残念なことなんだ。


「…で、まぁ、僕になんのよう?見知らぬ誰かさん」

「ああ、わしらは初対面だったな。わしは徳川家康!絆の力で学校をまとめる者だ!」

「へぇ。敵も味方もたくさんできそうだね。で、なんのよう?」


心にもない頑張ってとか応援の言葉をかけてもよかったのだが、実際なんとなく思った言葉を言ってみた。大抵ヒーローってそうじゃない?敵も味方も多いんだ。目の前の絆君は少し驚いてるようだった。


「…お前はわしの敵になるのか?」


初対面にそれを聞くのか。それともそんなことを考えられないくらいに動揺しているのか。いやぁ、まぁ、ぶっちゃけたところ。


「どうでもいいけど。」


そういえばまた絆君は驚いた後、少し考え始める。…ちなみに言っておくがこの『どうでもいいけど。』は君が敵といえば僕は敵になるし君が味方といえば僕は味方になろう。という『どうでもいいけど。』じゃないことだけ頭に入れておいてくれ。僕は敵とか味方とかそんな面倒くさいものにはなりたくないんだ。できれば傍観者、第三者としていたいんだよ。楽そうだから。


「…なぁ嫌われ者。お前は、三成と慶次の、敵か?味方か?」


少し笑いながら、試すような笑みで問いかけてくる絆君。本当君は善悪分けるのが大好きなんだね。果てしなくくだらないしどうでもいいよ。


「都合のいい『オトモダチ』かな。」


なんて薄っぺらいお友達なんだろうか。内心くだらないなぁ。と思っていると絆君は爆笑し始めて、終いには「三成と慶次が好んだ理由がやっとわかった」なんて言っている。いや、確かに長髪君が僕に懐いているのは嫌でも理解できるんだけど、銀髪君も?そんな風には見えなかったけど…まぁ普段を知らないからこればかりはしょうがないだろうか。

とりあえず、距離をおかないと面倒くさそうなのだけはわかった。



僕の心が、やめろと叫ぶ
(また1人、僕を嫌わない者が増えた)
(あぁあぁあぁあ)
(どうしてこんなにも計画通りいかないんだ)
(味方なんて、1人もいない方がいいのに)


僕の心が、やめろと叫ぶ