朝。風呂に入って朝食を作り簡単に食べて自室にこもる。
ちなみに、今の時刻は5時だ。あの人達の出勤時刻は早く、5時には家を出て行くからそれまでに僕は食事を作らなくてはいけない。昨夜作り置きをしておくのも可だが昨日はそんなことできなかった。なので今日の僕は4時起きだ。とりあえず6時に目覚ましをセットし寝ることを最優先とした。



そして朝学校に行ったら、いつもの視線の中にいくつもの動揺。きっと怪我についてだろうがどうでもいいのでさっさと自分の席につく。いつものあれらは、絡んでこなかった。

そんな、どうでもいいけど、いつもよりは面倒じゃなかった朝。
それは、すぐに、壊されたのだけども。


―昨日の放課後暴行を受けた―


と、あれが朝来る最中友達とかに言ったらしい。包帯とかガーゼをつけて。けど、あれは知りもしなかったのが僕の怪我。僕を見たとたん、凄く驚いた顔をしていた。もちろん、あれの友達も、そしてその話を聞いた――いつものあれらも。

昨日の放課後と言えばすぐにあいつらに呼び出された。そして適当に言いくるめて僕はお店へと直行した。そこにバンダナ君がいた。途中までバンダナ君と一緒に帰った。そして数分かけて家に帰るとあいつらがいた。あいつらを家に上げて、待たせて、料理をして、暴行をうけて、あいつらに見られて、口封じされてあいつらは家を追い出され、また僕は暴行を受けた。それからは部屋から一歩も出ていない。

つまり昨日僕はあの知らない子に会った覚えもないし暴行をしてる暇もなかった。

それを証明できるのはあいつらとバンダナ君が揃ったときだけ。可能性はいくらでもあるから揃っても証明できるとは言いづらいが、一応は証明できる。もちろんお店に行く間とバンダナ君と別れて家に帰ってる間。それから、あれらが家から追い出された後。この間は僕は誰とも会ってないから誰も証明できない。まぁ、時間的にも暴行してから行くのは無理があるのだけどそれに気づくかどうかが問題だ。


「………。」


見知らぬ女の子と同じくらい、いや、見えないだけで服の下は大変なことになっているのだけど。それくらいボロボロな僕を見てその子は動揺と戸惑いを見せる。頑張って思考を動かし嘘を嘘で塗り固めようとしているのだろう。目の前の子は、包帯やガーゼはしてあれど、青タンも擦り傷も腫れもなかった。僕と違って。

まぁ、それに気づいた人間が何人いるかなんて、知ったこっちゃないけども。


「…少しは情報交換でもしておけば、こんなことにはならなかったのにね。」


可哀想に。そんなことを言って僕は小説に目を向ける。教室を出るとでも思った?残念、僕が出て行く必要性がないんだよ。ああでもあの子がこれからどうやって挽回するのか、とかに興味が欠片程あったのかもしれないね。いや、まぁ、どうでもいいんだけど。



消えてくれ、って言ってくれたら
(いっそそういってくれれば)
(早い話なのに)
(なんで誰も言ってくれないんだろう?)


消えてくれ、って言ってくれたら