「…目開けたら森、ってなんだよ……」


雷の光りと嘶きによって視覚と聴覚がシャットダウンされてる間になにがあったし。思わず口に出してつっこんでしまうほど劇的だった。むしろこれは悲劇的ビフォーアフターじゃないだろうか。コンクリートから土に変わった地面を踏みしめながら思った。


「あー…どうすっかなこれから。リクと未央がいなくなったのフラグとして考えるなら俺も同じところにいるはずだけど……いや、なんか面倒。色々考えるのやめよー…」


そんなことよりも今は森を抜けることが先だろうか、いやいや適当に動いて遭難したときの方が怖いな。
ここは幸い人が歩く道っぽい。無造作だけど草が刈られてるし、それなりに足跡がついてる。薄いけど。今にも砂埃でなくなりそうだけど。

バッグの中を軽く確認してみるが、今使えそうなのはこのライトとライターくらいだ。秋が近くなっていたから薄いけどパーカーもある。森の中ということで少し気温も低く、肌寒い今丁度いいだろう。

たぶん状況的には佐助君と同じ…ここが戦国時代かはわからないけど、明らかに俺がいた場所とは違うところ。全く同じ時代の全く別の場所の可能性もあるんだよなぁ。


「………やばい。本当に頭痛くなってきた。寝たい…けど無理か。でも夜移動するのもなぁ…ライトあるから移動したほうがいいか?いや、電池もったいないからやめよう」


素直にそこらへんの木拾ってライターで火つけよう。明かりに動物は近寄ってこないって聞いたような気がしないでもない。というかよくTVでもやってるから間違いではないだろう。

現代よりも多く輝く空の星が、綺麗だった。




これが僕の最初
(最初と書いてはじまりと読む)
(…なぁんて、ね。)