佐助君が帰ったことを伝えれば2人は残念そうな表情をした後、「また遊びに来るといいな」と言葉を貰った。俺もそれにおおいに賛成だ。皆で遊んでいたい…いや、皆で楽しく遊んでいて欲しい。それだけで俺は満足だから。
たぶん佐助君が親戚だということは嘘だと普通に見抜いているだろう2人は、特別俺にそのことを言うでもなく、いつもより少し低いテンションでその日もくだらない会話をした。

佐助君が帰った日から毎日、2人のテンションは低かった。
かという俺もそんな2人と同調するかのように低かった。


「でさ、そのボン・キュ・ボンの姉ちゃんがさーそりゃもうセクシーなこって!」
「でもどうせ相手にされなかったんでしょ?」
「なんで…わかったし…エスパーかお前!」
「いやいつものことだろ、俺も普通にわかったし」


いつも通りの会話だが、なにか物足りない。
たぶんこの低さは俺等の間でしかわからない。それくらいに、僅かな低さだった。

彼は俺の中でもう日常だった。
二人の中でも彼は日常だった。

2人が寂しそうにしてるのを見て、少し鼓動が早くなるのを感じた。



▽△



空は晴天だった。けれど、思わず墓参りに来てしまった。
2人が寂しそうにしてるのに耐えられないのは昔からのことだからもうどう対処すべきなのかわかってるけど、今度は俺も寂しいようなので最初出会った場所にすがりに来たというわけだ。

ただ、すがりに来るなら普通一致条件の雨の日を選ぶはずなのにそれをしなかったのは、俺の弱さだ。


「…なぁ、最初も最後もここだったけど…婆ちゃん、あんた…何か力でも所持してたのか?」


肩ひざをつき、両手を合わせながら、俺は墓に対して言う。
決して言葉が返ってくるわけでもないただの行為だが、もしかしてと思う自分がいたのも確かだ。

しばらく見つめるが、何も帰ってこない。当たり前だ。

墓の後ろに回って腰掛けて目を瞑ったが、何も変わらない。そう、何も変わらなかった。


「…やっぱり、雨の日…じゃねーと、だめかねぇ…?」


生い茂る木々を見ながら、墓を背に呟いた。




みんながさびしそうなんだ
(俺だけが行っても、意味ねーのになぁ…)
(……今度、2人に打ち明けっかー…)