最近、ずっと天気は真っ赤な空だった。
「…綱吉、ひとつだけお願いがあるんだけど」
「…なぁに?」
本当はお願いなんて聞いちゃいけないんだろうけど、生憎ずっと俺の片割れだった月奈からのお願いを無視できるほど俺は非情にも外道にもなれなかった。
引きこもらせて、というお願いは聞けないけど…ほかの、あれが食べたいやらこれが食べたいなどなら叶えてあげるつもりだった。リボーンが煩いかもしれないけど、全部俺のせいなんだから…リボーンにだって、文句なんて言わせない。
ふわり、と笑った月奈は、俺の知っている月奈と何もかわりがなかった。
そう、なにもかわってないのが、最初からおかしかったのだけれど。
「あのさ…最後は、きみが殺してみない?」
「―――――…え?」
思わず聞き返せば、それすら予想していたかのように月奈は笑い、もう一度言葉を繰り返す。
きみが、綱吉が、私を殺してみない?
月奈が言っていることがわからない。俺が殺す?誰を?月奈を?なんで?―――あぁ、そうか。もう彼女は…とっくに、知ってたんだ。
「…いやだ、って…言ったら?」
「別に。当初の予定通りでどうぞ、とだけ言っとくよ」
しらっと、まるで他人事のように言ってのける月奈に少し寒気が走った。
なんでそんなにも冷静でいられるのか、わからない。
もしかしたら全く関係なくて、巻き込まれただけかもしれないのに、抵抗も見せずこの場に留まる月奈。
ふわりと笑っていた笑顔から、いつも通りの無愛想な、無表情に近い表情でつまらなそうに他人事のように対処する姿が、別人にしか見えなかった。
引きこもりと××
(……ああ、でも、そうか。そうだな。)
(月奈、俺…頑張るよ。助けられなかった月奈の、願いを叶えるためにもね。)