引きこもりと見送



最近、兄が頑張るようになった。


「綱吉、どこ行くの?そんな大勢で。」

「あ、月奈…。少し、ね」

「…ふぅん。どうでもいいけど。"ビアンキさん"なんかリスの帽子被ってたよ」

「えぇー!?顔隠せっつったけどなんであいつそんなの着てんだよ!?」


叫んでバタバタと家の中へと入ってくる兄。あれ、確かあの服お気に入りとか言ってなかったっけか。なんか今日は特別な日なんだろうか?てゆーか今並盛中の人が見境無しに襲われてて大変なんじゃなかったっけか?いいのかな、あんな大勢で出かけて。

いまだバタバタもめてる兄と"ビアンキさん"の方から視線を外し、その場で待っている律儀な銀髪君…あぁ、"ゴクデラ君"だっけ?と、確か…やまなし?あれ、やましただっけ?………あぁ、"ヤマモト"だ。"ヤマモト君"の2人に視線を向ける。そうすれば2人は私の視線に気づいたのか、1人は笑顔で、1人は睨みつけてきた。


「…スリル味わいたいんだか知らないけど、迷惑はかけないでよ」

「てめぇそんな餓鬼染みた理由で俺らが外に出てると思ってんのか!」

「少なくとも不良スタイルのきみはそう思われてもしょうがないと思う」

「てめぇな…!」

「まぁまぁ獄寺落ち着けって、今ここで仲間割れしても意味ないだろ?」

「うるせぇ野球馬鹿!大体俺はこいつのことなんて仲間ともなんとも思ってねーよ!もちろんてめぇもだけどな!」


標的が"ヤマモト君"に移ったのか、そのまま一方的に喧嘩をはじめる"ゴクデラ君"。
…なら、きみの仲間ってどれ?って聞きたかったけど、彼の性格はもうなんとなく理解しているから「10代目」と即答するだろう。というか彼は古典的なツンデレタイプだからきっと特定の人以外は全部ツンなんだろうなぁ。たとえ認めてても。

兄と"ビアンキさん"の会話に折り合いがついたのを確認し、喧嘩している2人を放置して家の中へ入る。

とりあえず部屋に戻る前に、兄に「いってらっしゃい」とだけ伝えておいた。




引きこもりと見送
(そういえば、"ふぅた"とかいう子供見なくなったなぁ…)
(…どーせなら牛餓鬼がいなくなればよかったのに。うざいし。)

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