私はとことん兄の周りの人達に嫌われているようだ。
知ってたけどね。
「すいません、ボンゴレ10代目・沢田綱吉の使いできました。ボスに直接届けろと言われているので通してください。」
炎が灯っている手紙を見せながら門番らしき黒服の人に言う。
その人は私の手から手紙をかっぱらうと、まじまじと眺め、そして無言で道を開けてくれた。
…道は教えてくれないのだろうか?
間違って変な場所に入ったら入ったで好都合とでも言うのだろうか?
まぁ、どうでもいい。
そのまままっすぐ扉の中へと入り、そして、転んだ。
シュパンッ カスッ
「…痛い」
「そっちよりもナイフを避けられたことに関して歓喜すべきだと思うけどね」
「うわー本当何も変わってねーよこいつ。マーモンと同じなんじゃね?」
「というより先輩ー、鮫先輩に絶対殺すなって言われてたのにナイフ投げちゃってよかったんですかー?」
「うっせ黙れカエル。王子は何しても許されんだよ」
鼻をさすりながら顔を上げてみれば、そこにはいつぞやの2人組。と大きな蛙さん。
後ろを向けば、閉まった扉に一本のナイフ。
…あらまぁ、凄い歓迎だこと(棒読み)
「…ボスさんってどこでしょうか。書類渡しにきたんですけど。」
「うわー凄いですよこの子。先輩のナイフに驚きもしてませんー」
「まぁ死んでもまたどこかで生きてるだろうしね、彼女も度胸がついたんじゃないかい?」
「ちぇっ、つまんねーの。怯えると思ったのになー」
「……あの、ボスさん…」
「わかってますよー。あのボスさんも沸点低いですからねー」
「早く移動しようか。スクアーロが待ってる。」
「めんどくせーから王子パス」
「スクアーロにどやされるよ、ベル」
ぐだぐだ勝手に喋って勝手に歩き始める2人(正確に言うと1人は浮いているけど)
取り残された私と蛙さんは、一回だけ視線が絡んだ後、私がすぐ逸らし2人についていった。
後ろでカワイクネーと言ってるのが聞こえたけど、今更だと思う。
▽△
「う"ぉおおい!おせえぞぉ、クソガキ共おおお!」
キーン……。
金髪さんがすぐに耳を塞いだから真似してよかった、と思う反面耳を塞いでもかなり煩いってどうゆうことだろう、と思う。
確かこんな声だったなぁ。なつかしいかも。
少しそんなことを考えながら耳を塞ぐのをやめ、彼に向き合う。
彼も、気づいたようでこちらに視線を向けた。
「……話にゃ聞いてたが…本当に変わってねぇな」
「あの頃から三年すっ飛ばしてきましたので。この書類はあなたに渡せばいいんですか?」
「いや、ボスがお待ちかねだ。あの小僧も面倒くせえことするよなぁ…いや、あの小僧じゃなくてアルコバレーノか…」
ぼそぼそと1人で呟きながら勝手に歩いていく彼。
…ついていけば、いいのだろうか。
書類を持ち直してとりあえず追う。
ついてくるものは、誰もいなかった。
引きこもりと書類
(…おい、大丈夫か?)
(すいません…体力これでもついたんですが…足の長さには敵いませんでした)
(…いや、俺も…すまなかったなぁ)