引きこもりと起床



最近、兄が目覚めたらしい。


「…、月奈…?」

「…おはよう、おかえり、ただいま。綱吉。」


ベッドの横に佇む私。
呆気に取られたような表情をしていた兄は、次第に泣きそうな表情に変わっていった。


「おれっ、リボーンに月奈を撃ったって言われて、それで…っ!」

「うん。撃たれた。死んで、また生き返った。」


だから大丈夫だよ、私は、ちゃんとここにいるから。
そう言って兄の頭を撫でながら少し背中を叩けば、毒のせいでまだ体が疲れているのかなんなのかすぐ眠りにつく兄。

おやすみ。そう呟いてベッドに戻す。


「…さてと、次はあなたですか。白衣を着てるってことは"シャマルさん"でいいんですか?」

「、ああ正解だ。さすがボンゴレ10代目の妹様、ってとこか?」

「いや、ただ部屋にいるとき聞いただけなので。素性とか一切知りませんしわかりませんよ。」


普通にそうとげれば、相手もそうか。と一言。
それから双方無言になる。

そういえば、と一つ思ったことがあったので私から声をかけてみた。


「犯人はわかったんですか?」

「譲ちゃんじゃないのか?」

「ええ。私じゃないですよ。」

「ほぉ、俺が聞いてたのと全然違ぇーなそりゃ」

「そうですか。」

「譲ちゃんは犯人を知ってんのか?…あぁ、六道の野郎だったか?」

「まぁ、そうだと思ってましたね」

「…? 違うのか?」

「まぁ。」


あまりにも似ていたから間違えただけ。
ただ、それだけ。
だから結局犯人は別にいる。

私は、その犯人を、知っている。


「…さてと、私が綱吉の近くにいたなんてバレると面倒臭いことになりかねないので、私帰ります」

「俺が言っちまうかもしれねーぜ?」

「いいですよ別に。直接対面すると面倒臭い、という話なだけなので。じゃあ失礼します。」


すっ、と"シャマルさん"の横を素通りする。
"シャマルさん"はずっと私の方を見ていたが、本当にただそれだけだった。


さて、それじゃあ…家に帰って"スペードさん"が来るのを待つか。

空は、綺麗な晴天だった。




引きこもりと起床
(もしかして彼は私を私と知った上で)
(私に接触してきていたのだろうか?)
(…いや)
(まさか、ねぇ?)

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