引きこもりと赤空



ぽつり、ぽつりと。
空は酷い、曇天だった。


「…"ジョットさん"」

「?どうした、月奈」

「……空が、赤いです」

「は?」


わけがわからない、といった風に聞いてくる"ジョットさん"。

こっちこそ、わけがわからない。
空は明らかな曇天で、グレー色のはずなのに、どうしても、どうしても…真っ赤な、ドス黒い赤にしか、見えなくて。


「…空は、グレーだぞ?月奈」

「そう、なんですが…」


いくら見ても、空は灰色から変わらない。
でも、でもなぜか、私の脳内はそれを"アカ"と認識する。

まるで、危険を知らせるかのように。空を"アカ"と認識する。


「…、……"ジョットさん"」

「…どうした?」

「気をつけたほうがいいかもしれません」


空が赤い日は、危険の証なので。

今まで空が赤い日など1回もなかったが、なんとなく、言っておいた。


"ジョットさん"は―――小さく顔を、歪めた。


ぽつり、ぽつり。
空は、相変わらず曇天だった。




引きこもりと赤空
(危険きけんキケン)
(空が赤い日は、キケンなの)

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