引きこもりと手錠



最近、死にすぎだし生きすぎだと思った。


「T世(プリーモ)、侵入者」

「違うし、迷子になっただけだし」

「どっちもどっちだな」


ぷりーも、と呼ばれた"ぷりーもさん"からの的確なるツッコミにノックアウトである。
そのまま私を手錠で繋いだ人と"ぷりーもさん"が日本語じゃない何かで喋ったかと思うと、犬の散歩を変わってもらうかの如く手錠(リード)を"ぷりーもさん"に渡して先程の人は出て行った。

…ハッ!まさか実はこの人がラスボスでドS的な…!?


「ラスボスは当たっているな」

「そういった趣味はないんですか、よかった…」


……いや、ちょっと待て自分。ラスボスは当たってるんじゃん。なにそれどうしよう。どうしてこうなった。

思いっきり心を読まれていることに気づかずに1人慌てる。
ラスボスとかフラグすぎてもうああああ!ってなっちゃうよ!今回も兄絡みだろうか?…うんん、いや。なんとなくそうじゃないと…思う。


「で?お前はなんであんなところで迷子になっていたんだ?」


"ぷりーもさん"が手錠をつかんだまま私に問いかけてくる。
…拳銃で撃たれて死んだと思って、気づいたらあそこにいたーなんて通じるんだろうか?普通に考えて痛い子だよね。まぁ、別に痛い子認定されてもなんとも思わないんだけど。

ただ、もう痛いのは嫌だなぁと思うくらいで。


「…お前、名前は?」


"ぷりーもさん"は急に質問を変えてくる。一体なんなんだろうか。

まぁ、一応。


「沢田月奈ですよ」

「…そうか。俺はジョットだ。よろしくな」


なにをどうよろしくという意味なのだろうか、そんなのはわからないけれども。

"ぷりーも"、"ジョット"。


なんか、聞き覚えがあるような。ないような。



引きこもりと手錠
(とりあえず、まぁ)
(生きたい。なぁ。)

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