引きこもりと森林



最近、殺されることが多くなった。


「…また、知らない場所…」


自分は瞬間移動の力でも手に入れたのかもしれない。
兄がマフィアのボスという確立に見事当てはまったんだからあながち間違いではないと思う。

というか、本当にここどこだろうか?


「……森だよなぁ」


どっからどう見ても、森。
周りには木しかなく、人気が全くない。動物がいそうな気もないって凄くない?


「…荷物なんて何も持ってない…あ、携帯ポケットに入ってた。…あとは飴くらいか。」


え、これ普通に死ぬんじゃないかな?うん。もやしっこにサバイバルしろとか無理な話だよね本当。ここに飛ばした人馬鹿なんじゃないか?あ、たぶん自分か…。

……ボーとしてても意味ないし、とりあえず歩いてみよう。程々に。


明らかなる迷子フラグが気になりつつも、適当に歩くことにした。



▽△



「…えと、迷子なんですすいません本当人様の敷地だって知らなくて…」

「………」

「………本当、なんか、すいません」


片手を手錠にかけられたまま、犬のように歩く私と誰かさん。
誰だろうかこの人、やっと人見つけたと思ったら手錠かけられたんだよね。いやまぁ私もはじめてみるからって素直に手出したのも悪いんだけど。

初対面の人に手錠かけるとか…もしかしてこの人超ドSなのだろうか。
私はMじゃないからそういった行為は酷く遠慮させていただきたいです。


「別に僕はSじゃないからね」

「あ、そうですか…安心した」


…ん?今の私口にだしてたのかな……まぁどうでもいいや。

ナチュナルに心を読んだことに気づかないまま、その見知らぬ人に連れられ歩いた。




引きこもりと森林
(………)
(……ラスボスでもいそうな城)
(強ち間違ってはいないかもね)
(え)

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