最近、兄は毒を盛られたらしい。
「…で、なに?」
「なにじゃねぇ!テメーしか入れられねぇんだよ!」
「なにを」
「毒だ毒!テメーがやったんだろ!!」
…キャンキャンと、煩いなぁ。
当てつけもいいところだ。なんで私が毒を入れなきゃならない。というか一般人が毒を持ってるか普通。アホか?アホなのか??
「私以外にも用意した母さんも入れられるよね、それ」
「10代目のお母様がんなことするわけねーだろ!」
「じゃあ10代目の妹様だってんなことするわけねーわけですが」
「んなわけあるか!」
「なにこれ理不尽」
私のこと嫌いなのは知ってたけどここまで理不尽なこと言われると思わなかった。ふざけんなし。もし本当に母さんだったらどうする気だお前。リアルツンデレハァハァなんてもう絶対言わねー。
てゆーかさ、まず兄がどれ選ぶかもわからないのにコップに毒なんて盛るか?無差別ならまだしもだけど、つか大体にして私コップ1つしか触ってないし。最初自分用に取ったときだけだし。馬鹿じゃない本当。
くだらないな。
「自分が酷く自分勝手なこと言ってるかわかってる?」
「んー、でも証拠もあるのな」
「そーだよ!テメーの部屋にあったこれが動かぬ証拠だ!」
バッと見せてきたのは、少しだけ中身の残った入れ物。これが私の部屋にあったのだ。…あの、"ロクドウさん"がいた辺りにあったらしい。
これ確実に犯人"ロクドウさん"じゃん。
そう伝えたけど全然聞く耳を持たない2人。かなり私が嫌いらしい。
「…なら私が犯人だったら、どーするわけさ」
「ここで果たす」
「ボスに手ーだした罪は重いぜ?」
ガチャリと、拳銃ではない…なんか髑髏のやつを向けられる。あと刀。立派な銃刀法違反なんだけども、しっかりしろ日本警察。
はぁ、とここにきてもう何度目かわからない溜息を吐き出した。
バァンッ!
…まぁ、そんな溜息を隠すかのように、扉がおもいっきり開かれたのだけれど。
「タコヘッド!山本!一体何をしているんだ!!」
「げ、芝生…」
「先輩…」
入ってきたのは了平君と、"ヒバリさん"。
まぁ"ヒバリさん"は凄い不服そうな顔してるからきっと了平君が連れてきたんだろう。
ボスである兄が倒れたから収集がかかったのか、それとも本当に友達として心配しているのか…
あ、そういえば私ってば兄がボスなこと以外知らないや。
兄の部下って誰なんだろう。"ゴクデラ君"は部下1号だとはなんとなく理解できるんだけどな。
「…もう一度聞くぞ、一体お前等は何をしているんだ。」
「…チッ、こいつが犯人だから殺そうとしてんだよ」
「なんだと!本当か月奈!!」
「違うけど」
「違うそうだぞタコヘッド!」
「テメーもほいほいと信じてんなよ!?」
ギャイギャイと煩くなった3人はもう放置することにした。パソコンやりたい。サイトみたい。動画みたい。お菓子食べたい。寝たい…。
私そっちのけで喧嘩する2人を止める1人に対して、また大きく溜息を吐いた。
引きこもりと被害
(そういえば、綱吉は無事なんだろうか)
(…まぁ死んでたら喧嘩してる場合でもない、か)