引きこもりと兄貴



最近、妹が帰ってきた。


「…なにやってんの、綱吉」

「えっ…?」


月奈の声がした。
ビックリして後ろを振り向くと、少しだけ開いてる扉から顔を出している月奈がいた。見た目何一つ変わってなく、そこに立っていた。


「え、嘘…本当に月奈!?」

「…偽者がいてどうすんの」

「…だよ、ね…はは、はははは…」


昔と変わらない姿、変わらない性格、変わらない言葉に涙が出そうになる。

月奈だ。
本当に本当に月奈だ!
月奈が、月奈がここにいる!!

“3年前に行方不明になった”、月奈がここにいる!


「…あれ、綱吉…なんか背、伸びた?」

「うん…うん。伸びた。」

「…なんでそんな泣きそうな顔、してんの?」

「だって、月奈がっ…やっと…」

「…わかんないけど、まぁ、泣き止みなって。ほら、折角大きくなったんだから妹に慰められてるなよ。恥ずかしいぞ。」

「ふ、く…だってっ、だってっ…!」


俺のせいで、攫われた。
俺のせいで、捕まった。
俺のせいで、殺された。

全部、全部俺のせいだった。

俺が強ければ、俺がマフィアじゃなければ、月奈は普通に生活してたはずだったのに。
今回みたいな、こんな事態になんかなるはずがなかったのに。

全部、全部俺のせいなのに…!


「月奈っ…ごめん、ごめんね…!」

「…大丈夫、大丈夫。」

「おれのっおれのせいでっ、ほんとっ…!」

「安心しなされ。ほら泣き止んで。」

「だってっ月奈っもしかし、たらっ…死んでっ」

「生きてる生きてる。死んでないから大丈夫だって。」


心臓だって動いてるし、息だってしてるから。
大丈夫、大丈夫。死んでない。生きてる。だから大丈夫、大丈夫。

そうやって慰めてくる月奈に、また、涙が溢れた。




引きこもりと兄貴
(真の大空は)
(落ちこぼれ大空を)
(ずっと探してたのです)

prev / next