引きこもりと大罪



最近、兄を見なくなった。


「やっほー月奈チャン♪」

「…どうしたんですか?"ビャクランさん"。リアルで会いに来るだなんて。」

「んーちょっとね。とりあえず一緒にご飯食べよっか」

「いいですよ」


テーブルの上にラーメンやら餃子やら乗せていく"ビャクランさん"。…よくここまで来る間に伸びなかったな。以外に近いのかな?

なんて考えながら、私も出すのを手伝った。


「…"ビャクランさん"」

「なに?」

「これ、2人分ですよね」

「そうだけど?あ、足りなかった?」

「いえ別に。十分です。」

「そ。んじゃ、いたたぎます」

「…いただきます」


テーブルに広がるのは一人前以上の料理。
まぁこのくらいならギリギリ食べられると思う。
結構、消化が早いから…たぶん。

ラーメンを啜りつつ、あ。これおいしい。なんて感想を吐いてご飯を食べる。予想外においしいぞこれ。どこのラーメン屋だろう?

しばらくラーメンを啜っていると、ラーメンを半分以上食べた"ビャクランさん"が口を開いた。(早くないかこいつ)


「ねぇ月奈ちゃん?」

「はい?」

「きみさ、レオ君に何か教えた?」

「なにかって、何をですか?」

「例えば…うん。」


ダチュラの花言葉、とかさ。
笑顔で言う"ビャクランさん"。そこまで確証があるなら確認を取る必要があるのだろうか?少し疑問に思う。

まぁ、嘘をついても意味ないから、正直に答えた。


「教えましたよ。ユウガオの花言葉を探している最中に見つけたので。ついでに。」

「へぇ!ユウガオの花言葉、探したんだ?」

「こんなに贈られてきたら探せと言ってるのと同じだと思いますよ」

「アハハ、そうだね♪で、どう?花言葉を見つけた感想は?」

「正直意味不ですね、身に覚えがありませんよ。」

「そ。まぁそれで身に覚えがあるって言ったら僕は君を尊敬するよ」

「残念。なかったですね。」


ラーメンを啜りながら、餃子を頬張りながら、チャーハンを崩しながら、会話をする。
結局何が言いたいのか回りくどくてわからない。要点だけで説明してほしい。

とりあえず、直球に私が質問すれば返ってくるとみた。


「…私の『罪』って、なんですか?」

「え?なに?言っちゃっていいの?僕が?」

「どうぞ。別に構いませんので。」

「…もしそれを知って君が死ぬことになっても?」

「どうぞ。一度死んだ身なので。」


実際は、生きてたけど。
内心でそう付け足しつつ"ビャクランさん"を見る。

彼は、笑っていた。


「きみの『罪』は、何も背負わないで生きていることだよ」


…結構誘拐されたりとかで扱い酷いんだけど、

それでも『何も背負ってない』という『罪』を着せられてしまうのだろうか。




引きこもりの大罪
(…"ビャクランさん")
(なんだい?)
(とりあえずラーメン食べてから会話しましょう)
(…そうだね♪)

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