最近、兄の頑張る姿を見た。
「……………。」
液晶越しに繰り広げられる戦いは、全く現実味を帯びてはいなかった。
炎を使い空を飛び、敵と相対し、種類によって異なる力を用途によって使い分ける。
どこのゲームだ、と呟いてしまったのは仕方ないと思った。
「…と、いうか…あのダメツナが…こんなに変わってたんだ。」
知らなかった、なぁ。
落ちこぼれ兄妹、なぁーんて呼ばれてたのに。もう呼ばれないんだね、兄は。
…私は、いつまで落ちこぼれなんだろうね。
ガッシャン、何かが壊れた音と共に画面に砂嵐が起こる。
…そうか、カメラが、壊れたのか。
窓を×ボタンで消して、他のを出す。
こっちのは…"ヤマモト君"と、"ゴクデラ君"か。あーぁ、血まみれでやんの。ははっ…。
「…ねぇ、"レオさん"」
「はい?」
「あなたは、私がなぜ生かされているのか知ってますか?」
こんなにも嫌われているようなのにね。
レオさんが今丁度活けている花を見る。ユウガオ。漢字にすると夕顔。ウリ科で夕方に咲く花。
花言葉は、罪。
「…いえ、自分は最近入ったばかりなので…」
「そうですか。特に深い意味はないのでご心配なく。ただの疑問です。」
はぁ、と言うレオさんから視線を外してパソコンを覗く。そこにでているのは、ユウガオのページ。
やっと見つけた、ユウガオのページ。
名前も知らずによくやったもんだ、と正直自分で自分を褒めたくなる。
カメラとかで写真を撮ってネットで質問すればすぐに出てきたんだろうけどあいにく携帯もカメラもなかったので自力で調べた。凄いよく頑張った自分。
それはそうと、"ビャクランさん"は以外と乙女思考なのかもしれない。花言葉なんてぶっちゃけ興味なかったから知らなかった。ただ暇だったから調べただけ。
そして"ビャクランさん"がよく私にくれる花、それが―――ユウガオだった。
「…ねぇ、"レオさん"」
「はい」
「"ビャクランさん"の部屋に、あのお花を飾ったのは"レオさん"ですか?」
「? はい。そうですよ。」
前の通信で見たお花。名前なんて知らない。ただ、見ただけ。
前から飾ってあったものだったから興味なんてわかなかったけど、花言葉探してたら見つけたんだよね。あの花の花言葉。
「あのお花の花言葉、知ってますか?」
「………?」
"レオさん"に聞けば、やはり疑問顔。知らないよね普通。"ビャクランさん"はいろいろなこと知ってて凄いと純粋に思った。
カチカチとマウスを動かしページを変えて、そして"レオさん"に見せる。
あの花のページを。
「あの花の名前はダチュラ、そして花言葉は…
『愛嬌』『偽りの魅力』『変装』『夢の中』『あなたを酔わせる』
…花言葉を重んじる"ビャクランさん"のことだから、何か意味があってそこにこの花を置いてると思うんですけど…」
なにか、心当たりあります?
そうやって聞いてみれば、"レオさん"は一拍おいてから「いいえ、なにも」と答えた。
「そうですか」
「お力になれずすいません」
「いえ、ただ疑問に思っただけですから。特に意味なんてないのかもしれませんしね。」
「…あぁ、では自分はこれで失礼します」
「あぁ、引き止めてすいません。では、さようなら。」
「、…えぇ。さようなら。」
部屋から出て行った"レオさん"。
その後、"レオさん"が二度と私の元へ来ることはなかった。
引きこもりと興味
(そういえば、こんなにいっぱい花を贈ってくるということは)
(私はよほど酷い大罪者なんだろうなぁ)
(…これでただ可愛いから渡したって理由だったらどうしよう…)