gift+get | ナノ

労りの言葉はそこに無く

※むそバサコラボ
※当家BSR佐助成り代わり主=猿飛佐助固定
※鷲様宅の夢主は無双元親成り代わり主=元稀(あさき)固定
※無双幸村=源二郎(名前のみ)








くあ、と欠伸を噛み殺す。ああ、退屈極まりない。
自室に戻って寝ようか、等と考えていると、不意に、横の影が形を持った。
それを一瞥。へらりとした表情は、相変わらず胡散臭い。


「やっと追いついた!やー、お兄さんゴメンね?うちの旦那が」

「全くだ」


包み隠さずにそう言い切れば、猿飛は苦笑いを浮かべた。それがホンモノかどうかは別として、俺相手に此処まで表情を見せるのは珍しい。
……そうする理由も、分からなくは無いが。


「烈火ぁぁぁぁああああぁぁぁぁあ!!」

「うぉっ!やるじゃねえか、真田よぉ!!」


熱い。それはもう凄絶に熱い。暑い、じゃなくて熱い。
理由は、元親と真田の属性。……何故二人して炎なんだ、と、根本的にどうしようもない疑問が浮かぶ。
横の猿飛も涼しい顔をしているが、表情は何処か疲れていた。


「お兄さんさあ、水計持ちじゃなかったっけ?」

「あの二人にかませと言うなら拒否させていただこう。ああ、アンタになら喜んで」

「綺麗な顔して辛辣ー。俺様泣いちゃうよ?」

「勝手にしろ」


わあ、本当に辛辣ー……と、若干引き攣った様な表情を見せつつ、猿飛は俺の横に腰を落ち着かせたまま。俺も、別に動こうとは思わない。
それは結局、少なからず猿飛に気を許しているということだろう。いけ好かないのは変わらないが。
それにしても、二人は何時までやるつもりだ。もう一刻はとうに過ぎている。


「…………ああ、面倒だ」

「俺様もどうかーん。そもそもさあ、何で四国?何でそんな遠いところ?!この間奥州にも行ったばっかりなのにさ!」


勘弁してよー!と喚く猿飛に、流石に同情する。言ってしまえば、幸村がこっちに来た原因が、少なからず俺にあるから。
ちょっと待ってろ、と猿飛に言い残して厨に向かう。多分、残ってたはずだ。
茶を煎れて、菓子と一緒に盆に載せる。猿飛が口にするかどうかは知らない。忍だからしない気もするが。
そんなことを思いながら、縁側に戻った。おかえりー、とへらへら笑う猿飛に菓子を差し出す。


「え、何?」

「アンタにだ。それから、幸村が此処に来た原因」

「……これが?ただの団子じゃん」

「俺手製のだがな」


しれっ、と言い放てば、猿飛はマヌケ面を晒した。その横まで炎が来て、微かに髪を焼かれ飛びのいていたが。
ちょっと旦那ぁ!勘弁してよ!と猿飛が言うも、幸村は見事に無視していた。……いや、若干口角が上がっているから聞こえているな。しかも、さっきの行動はわざとと見た。性質が悪い。


「あーもー…俺様転職したい……それでさ、なんでこれが原因?」

「源二郎に俺の団子は絶品だと言われたらしい。そんな事が文に書いてあった」


まあ、買い被り過ぎなのだが。幸村も美味しいと満足したらしいのでそれは気にしないでおこう。
あー源二郎様かあ、ならしょうがないねー。猿飛、疲れ顔でそれを言っても説得力が皆無だ。
そんな会話をしつつ、串の先から団子をひとつ拝借。
咀嚼していれば、猿飛は意味が分かったらしい。負けたよ、と独り言の様に零して、団子を口に運んだ。


「あ、本当だ。美味しい」

「それは良かった。……ところで、避けなくて良いのか?」

「へ?ちょ、うわっ!!」


容赦無い攻撃が猿飛に当たる―――事はなく、ぶわりと影が四散した。幸村、俺にも若干掠ったんだが。
横を見ても皿は無く、少し離れた木の上に居る猿飛がちゃっかりしっかり手にしていた。
にこり、と音が聞こえそうなくらいの笑みを、幸村が浮かべる。槍には、焔。


「佐助、その団子を寄越せ。でなければ減給するぞ」

「何その理不尽!!これ俺様の分ってお兄さんがくれたんだよ?!」

「部下のものは主のものだろう?」

「おい、いい加減にしろ」


幸村の頭を思い切り叩く。予想していなかったらしく、盛大に転んだ。……普通、転ぶか?
鎖を鳴らしながら俺の横に並ぶ元親に経緯を問われたが、さあな、と一蹴しておいた。説明が面倒だ。
青い顔をしている猿飛は無視して、幸村に近付くと、涙目で睨まれた。それでいいのか虎若子。


「また作ってやるから止めろ。今此処で猿飛のを奪うというなら二度と作らん」

「むう……承知致した」

「元稀!俺も食いてえ!!」

「アンタは何時も食えるだろう」


胸中で溜息をつきつつ、猿飛の方を一瞥。
猿飛は聞こえるか聞こえないかの微かな声で、ありがとね、と、へらへらした笑顔を貼付けて零した。
小さく手を振って、気にするなと俺の意志を。伝わったかどうかは気にしない。

それから、何故か言い合いに発展している元親と幸村に向けて水計をかました。
……俺は保護者では無いんだが。








(お兄さん凄いねー。俺様助かっちゃった!)
(助けない方が灸になって良かったかもな)
(それだけはヤメテ……俺様死ぬどころじゃ済まないよ…)
(……苦労、してるんだな)
(あー、うん……お互い様だよ…)

---------------------------------

相互記念、『仮初』の黒雨さまへ!

当家むそバサ連載と黒雨さま宅のBSR佐助成り代わり連載『俺様何様忍様!』とでコラボさせていただきましたv

シチュお任せ!との事だったのでキャホオオオオオオオイ!なテンションで書いたら……あれえ?←
何でPTAになっちゃんたんだろう……?wwww
元稀と佐助主はきっと似た者同士だと思う。諸々のベクトルが違うだけで。
言い合いは書いてて楽しかったですv

黒雨さま、よろしければお納めくださいませ!
返品・書き直し、何度でも承ります。
……そして、ちょっと調子に乗ってこんなおまけも書いちゃいましたv←

これからもよろしくお願いします!


***−11.11.25

DISTORTION×YSENOHSID』の鳩螺鷲様に頂いちゃいましたコラボ小説です!おまけは次ページに掲載させてもらいました!

元稀殿のお団子…!おいしそう(^p^*)じゅるり←
うちの子の佐助が相変わらずの不憫具合にドキドキしておりますw言い合いとかもう爆笑しながら読ませて頂きました!きっと今後暇があれば元稀のところに愚痴りにいったり幸村の命令で団子取りに行ったりするんですねわかります((←

素敵コラボ小説感謝です!私も早く書かなきゃ…!
prev next /