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とある忍と智将の話 01

※当家佐助成り代わり主=有無(ゆうむ)固定
※威名様元就成り代わり主=凪沙(なぎさ)固定




それは本当にごくごく普通の、戦の無い平和なある日の事だった。
まぁ、この時代で戦の無い平和な日なんてそうそう珍しいんだろうけどね。


僕は中国統一以来、自分から戦を仕掛けた事が無い。
彼との契約の為に。
なのに他国からのお客さんが後を絶えないのも事実、招かれざる客というやつだ。



小早川「元就様!」


『何だ騒々しい』



ハァ、また何かあったみたいだね。
小早川さんや吉川さんが僕を『元就』と呼ぶ時はだいたい緊急事態の時だからさ。



小早川「曲者が侵入したとの報告が!」


『駒どもは何をしていた』


吉川「申し訳ありませぬ。探索に当たらせています」



『ここは良い。貴様らも行け』


「「はっ!!」」



曲者…か、
たかだか普通の忍なら放っておいてもそこまで問題は無いんだけど、例えばそれが凄腕の忍なら話は別になるんだよね。



?「あーあー、ちょっと道聞こうとしただけなのに曲者扱いってひどくない?」


『………貴様が曲者か』


?「Σあれ!?まだ人いたの!?」



誰かと思えば武田の忍。
小早川さんと吉川さんに気づかれずに侵入できる忍なんて限られてるから予想内ではあったんだけど…。


まさか僕の、というか敵国の将の存在を確認せずに天井裏から降りてくるなんて正直別の意味で驚いた。
しかも“彼”が失敗するなんて尚更。



『我が自室にいて何が悪い。そもそも貴様、何をしに来た』



ちょっとした脅しをかける為にわざと睨みをきかせてみる。
すると彼―猿飛佐助は青ざめた様子で、必死に作ったであろう笑顔をひきつらせた。



「いや全然!むしろ何で俺様がここにいんだよって話だよね、うん!!」


『………』



あれ?



「お、俺様本当にここに忍び込むつもりなかったんだって!ただ、ちょっと道間違えただけで…」



何だろう、この違和感は。
彼は…本当に猿飛佐助なのか?
根拠は無いけれど、何だか違う気がする。
そんなことを思いながら僕は目の前の彼を見た。


忍ぶのには向いてない橙色の髪、ペイントのある整った顔に迷彩服。
全て僕が知ってる彼の特徴なのに、何か違う。



「え、えーっと…俺様帰るね」


『敵国の忍をみすみす逃がすお人好しの将がいると思うか』


「アハー、ですよねー」



もう少し彼、猿飛佐助(仮)を観察したいと思った。
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