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おまけ

※むそバサコラボ
※当家BSR佐助成り代わり主=猿飛佐助固定
※鷲様宅の夢主は無双元親成り代わり主=元稀(あさき)固定
※元稀は逆ハー主に"立場を入れ替えられてしまった"ため、現在放浪中
※ほの暗い







人間を形成するのは、何だろうか。

名前か、精神か、肉体か、他の何かなのか―――きっとどれも正解で、だからこそ、どれも不正解なのだろう。
名前はただの識別に過ぎない。精神はそれを"自分"と思い込んでいるだけに過ぎないし、肉体はそのうちに朽ち果てる。ヒトとは実に脆いモノだ。

人間を形成するのは、きっと、世界だ。

世界というのは、所謂、地を表す世界ではない。自分を取り巻く、ごくごく小さな"世界"。他人と互いに影響し合い、交わり、形成される。
決して重ならない。なのに、他人の世界と交わらねば、その世界は意味を持たない。
世界から忘れられた俺は、つまり、"俺"では無いという事になるのだ。


「……ならばこの存在は誰だろうな。"俺"を騙る亡霊か?なあ、猿飛」

「さあね。別にアンタが誰であっても、俺様には関係ないし」


しれっと言い切る猿飛の声色は、何処までも冷たく無機質だ。だが、それの方がずっと有り難い。
俺と初対面だと思い、取り繕われるよりも、警戒されるよりも、ずっと、ずっと。
くつり、と笑いを喉で噛み殺す。


「そうだな。最初からアンタに答えなど求めていない」

「じゃあ何で聞いたの?」


気分。そう言い切ると、猿飛はそう、と曖昧な肯定を返した。
上田城の客間で、俺は幸村を、……いや、"真田殿"を待っている。監視なのか、猿飛が此処に居るから、話をしているだけで。
何時だったか、幸村が土佐に来たときにした会話とは、何もかもが程遠い。当たり前だ、あの時、俺は"俺"であったし、真田との関係も、対等であったから。
ねえ、と、猿飛が俺に呼び掛ける。


「アンタ自身はどう思ってるのさ、"長宗我部元稀"」

「"長宗我部元稀"は概念上の死者だ。俺がそうであるなら、アンタは死者と話していることになる」

「アハー、全然面白くないよ、それ」

「俺からしてみれば、アンタだけ俺を"俺"として知覚している方が面白くない」


どうせなら元親とかが良かった。いろいろと。
だが、その言葉は飲み込んでおく。言ったところで、どうしようもない。どうしようもない事を思うから苦しい。
なら、最初から棄ててしまえばいいのだと、自己完結。


「で、どうするの?」

「さあな」


仰いだ空は快晴。だが、その色は霞んだような灰にしか見えなかった。俺の世界から、色はとうに消えている。
どうせなら、俺は"亡者"となろう。全てが、どうでもいいのだと。


「"俺"の居ない世界だというなら、俺は好きにやらせてもらおうか。行方と終焉が見たい」

「アハー、悪趣味だね」

「気付いているのに傍観に徹するアンタも十分悪趣味だ。安心しろ」


相変わらず辛辣ー、と言いながら、猿飛は苦無をくるくると弄んでいた。
それを不意に止めて、俺の眼をじいっと見据えてくる。


「ねえ、"元親"」

「……何だ?」

「死なないでね?」


へらりとした、歪んだ黒い笑み。
言葉は甘い、だが、その奥にある真意は何処までも暗く、自己中心的でしかない。
それに気付いて、小さく笑みを浮かべる。こうなる前には出来なかった癖に、ああ、なんて皮肉なことか。
猿飛に向き直って、上等、と更に口角を上げる。


「当然だ、俺は抗い続けよう。……楽しむなら勝手にしろ、"佐助"」


その言葉に、猿飛は一瞬きょとりとしてから、またへらへらと笑った。以前ほど不愉快では無くなっているのは、きっと俺を取り巻く世界が変わったから。


「佐助ええええええええ!!早く来ぬかあああああああああ!!」

「うわっ、ちょ、ちょっと待ってよ旦那ぁ!今行くから減給は勘弁してええええええええ!!」


……何故今の言葉だけで減給に繋がるのか、俺には理解出来ない。
若干涙声のような声色で叫びながら、猿飛の姿は掻き消えた。真田殿の元へ行ったのだろう。
小さく息を吐いて、空を仰いだ。やはり、灰色。

俺だけが切り離された世界。俺だけが取り残された世界。
それは交わらず、また、共生することも出来ないのだ、と、今更過ぎる現実を想う。





「―――ああ、退屈なことだ」













(さあ、お手を拝借。)

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相互記念、『仮初』の黒雨さまへ!

当家むそバサ連載と黒雨さま宅のBSR佐助成り代わり連載『俺様何様忍様!』コラボのおまけでございます!
いや、鳩螺のトンデモネタを拾って下さったので←
……長いことにツッコミは無しでw←

これだけだと若干分かりにくいですね……ええと、逆ハー主がむそバサの世界に来て、"長宗我部元稀"の立場を奪った。周りにとっての"長宗我部元稀"は逆ハー主になっちゃって、元稀を見ても誰お前?状態になってしまったと。
なのに佐助成り代わり主だけは正規で、元稀が"長宗我部元稀"として認識できているというわけです。
うん、分かりにくいままだわ!←

連載番外小ネタを書いて良かったのだろうか…いや、書く気はあるんですけども。←
よろしければ、こちら併せてお納めくださいませv


***−11.11.25

むきゃあああああああ!!なんですかこの素敵なおまけは!超hshsしてしまいましたよおおお!←
ほの暗とか…なんて新ジャンルというべきでしょうか…!テンションの上がり方がやばいです。先程のでもPCの前でばったんごっとんやってたのにどうするんですか。もう嬉しすぎて転がるどころの話じゃないですよ!あ、やばい佐助Verで書きたくなってきた^p^←

本当にありがとうございます!連載番外小ネタだからなんですか!とてもうれしかったですw
私も即急に書き上げさせて頂きますので少々お待ちください…!
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