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とある忍と智将の話 03

「えーっと…もしかしてアンタも転生したとか?」


『うん』



彼の問いに笑って答えると、やっと安堵したように顔を綻ばせた。



「なーんだ、俺様このまま死亡フラグ立つかと思ったよ」


『ちょっと気になったからからかってみただけ。何か僕が知ってる猿飛佐助じゃなかったから』


「え、俺様これでも頑張って成りきってるつもりなんだけど…」



彼は見てて飽きない。
というよりも異端者同士どこか通じる所があるのかもしれないね。



『君の名前は?』


「俺様は有無。まぁ、普段は猿飛佐助で通してるんだけど。アンタは?」


『僕は凪沙。普段は元就』


「へぇ、いい名前…って、え!?もしかして女の子!?」



彼の―有無の問いに再び首肯すると、心底驚いたように僕を見つめる。
まぁ、毛利元就がもともと中性的な顔立ちだから見分けつきにくいだろうけどそこまで驚く事なのかな?



「じゃあ普段は男装?ってかそれで中国統一したとかスゴいよ!?今も毛利強いし!」


『僕だけの力じゃないよ。小早川さんや吉川さんや、皆の力が無かったら何も出来ないから』



そう言うと有無は僕の頭に手を置いた。
温かくて、懐かしい感じがした。



「それでもスゴいって。少なくとも俺様には人の上に立って国を治める事なんかできやしないよ」



何だろう、これ。
何かこそばゆいと言うか、照れくさいと言うか、他人にこんな風に言われるのって慣れてなくて…。



『…ありがと、有無』



やっと出た言葉はそれで、多分かなり素っ気なかったと自分でも思う。
慌てて有無を見ると、固まっていた。



『有無?』


「…可愛い(ボソッ」


『何?よく聞こえなかった』


「う、ううん!それよりさ…」



有無が口を開いた瞬間だった。



才蔵「なかなか帰ってこないから捜しに来てみれば、こんな所まで来てたのか」


「さ、才蔵ぉ!?」



…才蔵?
もしかして真田十勇士の霧隠才蔵かな?
首根っこを掴まれた有無と才蔵さんが何やら言い争ってるのを眺めてると、



ガララッ



吉川「元就様、何やら騒がしくありませぬか!」


小早川「…む?」


「「あ」」



あーあ、吉川さんと小早川さんが来ちゃった。
瞬間、才蔵さんが天守閣から有無を掴んだまま飛び降りる。
僕は叫び声を上げながら小さくなっていく2つの影を見つめたまま、静かに笑った。



とある忍と知将の話
(あれ、何か入ってる?)
(手紙みたいだな)
(どれどれ?『また来てね』だって!)
(…何してたんだお前)


***

五月雨の唄』の威名様から頂いたコラボ小説です!

当家佐助だけではなく才蔵まで出していただけたなんて…!感激です!
うちの佐助の出会うきっかけは基本迷子なんですよね^^喜ばしいことなのか…いや忍として凄く致命的だから喜んではいけませんね。

素敵なコラボ小説感謝です!私もちまちま書いているのでもう少しお待ちください…!
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