その後、料理係が右目の旦那と独眼竜の旦那、他にも手が開いてる者(俺様以外)が手伝うという形に収まった。他にも掃除とか(俺様以外が)手伝うという話でまとまったようだ。

ちなみに、じゃあ俺様は何をするのかというと


「ねぇ、夢吉君がご飯食べてくれないんだけど」

「りんご丸ごと渡されても戸惑うだけだと思うよ」

「佐助さんりんご貸してください、切ってきますから」


りんごを丸ごと渡しても食ってくれない夢吉君に対して文句を言えば文句が帰ってくる。いや、あんたらが包丁使うなっていったんじゃん。苦無で切ってもよかったけど衛生的な意味でもよくないし、第一武器所持禁止ということで預けてるし。

これ絶対俺様悪くないと呟きながら夢吉君なでたら手叩かれた。放り投げるぞこの糞猿野朗め!そして真田の旦那も爆笑してんなし!


「夢吉ちゃん、はい。うさぎさんですよー」

「キーッ!」


来夏(らいか)ちゃんから喜んでりんごを貰う夢吉君。人の手は叩き落しておいてなんという態度だ。これだから最近の若者は…、ってこの猿って実際のところいくつなのか知らないけどね。


「…さて、じゃあ係りも決まったところだし…いつまでもその服でいるわけにはいかないから、買い物にでも行きましょうか」

「Hey!買い物ってこたぁ外に出れるわけか!」

「はい…といっても全員は無理なので、この服が着れる人だけになるんですけど…」


そういって結花(ゆか)ちゃんが持ってきたのは、ある程度サイズが大きい、けれど右目の旦那や鬼の旦那、風来坊は絶対着れないサイズの服。きっと部屋着であろうそれは、俺様だと少し袖が短くなる程度だろうことが予測できた。

となると、枚数的な意味で行けても3人。

来夏ちゃんはどうせ大きな服を持っていても高が知れているような身長なので3人以上はどうがんばっても無理なのがわかる。


「必然的に長曾我部さんと前田さんと片倉さんはお留守番になってしまいますけど…」

「いや、それはいいんだが…下はこれしかないのか?」


右目の旦那がさしたのは、スウェットみたいなぶかぶかしたズボンが1本とジャージが1本。これじゃスウェットのまま夜中にコンビニに行く不良みたいな格好だなぁ、と思いながら、行けても2人までなのが確定されてしまった。


「大きいサイズ…皆さんが履けそうなサイズがこれくらいしかなくて…」

「スカートならミニに見えてもいけるんだけどねー…」

「?すかあとでござるか?」

「あ、はい。基本は女の子が履くものなので真田さん達が履いてたら変質者と間違われて逮捕されますよ」


くすくすと笑っているが、真田の旦那は正直よくわかっていない様子。
たぶん旦那はスカート履く以前に破廉恥って叫んで大変そうだからどっちにしろ無理だよ。


「…でも、でも買い物は大荷物になるだろうから人は何人も欲しいよね。誰か女装でもしていく?」


毛利の旦那辺りならできそうだよねーと、言葉に出したら確実に焼かれるから内心で笑いながら言っていれば横から強い視線。
ん?なに?と思ってこっちをガン見してくる旦那と目を合わせる。ちなみに後ろには誰もいない。つまりは………

………え?俺様?


「俺様が女装してもきもいだけだよ?」

「当たり前だ。佐助のままで女装してなんになる気持ち悪い」

「自分で言っておいてなんだけど人に言われると結構心にぐっさりくるって知ってる?」

「だが、お前は変化の術が使えたであろう」

「(スルーされた…)え?あぁ…え?」

「結花殿、こやつに服を貸してくれぬか?女子のでいいでござる」

「え?あ、は、はい…」


俺様の言うことを完全スルーで勝手にぽんぽん決めていく真田の旦那。え?いや、まぁそれがたしかに一番いい手だと思うけど………え?

そのまま結花ちゃんに部屋まで案内されたけど、しばらくえ?と言っていた気がする。




準備
(え?俺様なの?いや、一番最善だと思うけど…え?)
(文句言わずさっさと逝ってこい、減給するぞ)
(旦那、今行ってこいじゃなくて逝ってこいって言わなかった?)
(?逝ってこい以外に何を言うのだ)
(わかってて言ってるでしょあんたああああ!)


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