雨の降る日、決まって彼は人を殺しに歩くの。
ザァザァ降る雨の中、人を切る感触も、頬に張り付く髪も、すべてがすべて鬱陶しい存在でしかないでしょうに。
私が呆れ気味に言っても、彼は一切聞く耳を持たないの。
なぜって?だって、雨が降ってるんですもの。しょうがないのよ。

ザァザァと、まるで桶をひっくり返してしまったかのように降り注ぐ雨は、私の体の体温という体温を奪いゆく。
ああ、生が消えてゆく。生が流れてゆく。愛しい、いとしい彼のソレも、ながれていゆく。
私の生と、彼の性が混じり合い、そして流れゆくのを見ながら、私は彼に殺されてゆくのです。



雨の日の悪夢
(赤色と白色が混ざって、綺麗な桃色になったわ)
(まぁ、それもすぐに流されてしまったのだけれど)