「きみは太陽に愛された男だね」
見知らぬ女の子が、急にわしに言ってきた。だからわしは否定したのだ。
「わしはそんな凄い人じゃないよ」
太陽に愛されているだなんて、そんなおこがましい。太陽になんて愛されていないよ。わしは誰にも愛されてないんだ。愛されてはいけないんだ。愛していないんだ。愛してはいけないんだ。
少女は小さく笑って、
「“かみさま”になる男が、何を言っているんだろうね」
「え…」
「やっぱり。誰もにもお兄さんは愛されてないんだね」
じゃあね。
待ってといおうとしたときには、もうその子はいなかった。
“かみさま”になる男
(“かみさま”になるのに)
(“あい”は必要無いのさ)