「好きだ」
「…順番、逆じゃね?」

意識が戻った途端に告白だなんて、というか意識が先ほどまでなかっただなんて認めたくない。むしろこんな告白シーンを認めたくない。
幸い足には何もついてないけれど、手には綺麗に、けれど絶対に抜け出せはしないように、ロープが巻いてある。けれど痕はつけたくないのかご丁重にロープの下にタオルが巻いてある。いいやつなんだか悪いやつなんだか…。

「付き合わなければ貴様を殺して私も死ぬ」
「どこのヤンデレだよテンプレにも程があるよ」
「…貴様、状況がわかっているのか」
「わかってるよ。だから、順番逆だろって。」

なんで監禁からの告白なんだよ。普通逆だろ?告白からの監禁だろ?告白断った場合「ふふふこれでずっと一緒にいれるね…」だろうし、付き合ってた場合なら「これで私以外見えないよね…」だよね。
なのになんでまさかの拉致監禁からの「大好きだよ!」なんだよ。
順番が!逆だろってだから!!

「順番等どうでもいい!私と付き合うのか!付き合わないのか!!」
「ナイフ向けながらそんなこと聞くってただの脅しだよみっちゃん」
「いいから!答えろ!!」

焦っているのかいないのか、ナイフを絶対に私には当たらない位置で振り落とす。うわ、ナイフなのにブォンッて風切る音聞こえた。マジこええ。
元々ヤンデレの気はあったとは思ってたけれど、まさか私にそれが来るなんて思ってもいなかった。だってさ、恋人とか恋慕とか、そういうのになんか遠い人じゃないみっちゃんてば。好きな人には一途なの知ってるけどさ、あくまでも敬愛だったじゃないきみ。

「みっちゃん、強制はやだよ私」
「………強制でもしないと、貴様は答えないだろう…!」
「強制する前に聞かれてないんだから、答えようがないじゃない」

事実、私は今の今までみっちゃんが私のことを恋慕的な意味で好いてきていることを知らなかった。周りから言わせれば鈍感らしい私が、私どころか友達とかさえも気づいて教えてくれなかった。つまり、それほどみっちゃんは自然体だったわけだ。まぁ、いつから私を好いていたのか がわからないから実はなんとも言えないんだけれど。
ってーか強制しないと答えないって言ったの、誰よ全く。
強制なんてしなくてもちゃんと答えるよ。聞かれれば。

「みっちゃんみっちゃん」
「なんだ、早くしろ」
「好きって言ったら、外に出れるの?」
「…嘘は認めない」
「いや違くて、」
「そんなに外に出たいのか…?何故!外に出ずとも私が世話をする!!」
「いや聞いてみっちゃん」
「なんだ」
「…冷静なんだか暴走してんだかよくわからないよ」
「私はいつでも冷静だ。で、なんだ。早く要件を言え。」
「あ、はい。…私が外に出たいのはさ、だってさ、外に行かないとデートできないじゃない。」
「…おうちデートでいい」
「やだよ。それ今までと代わりないじゃん。」
「…というか、主人公…貴様、私とデートがしたいのか…?」
「え?だって付き合うんでしょ?だったらデートしたいじゃん」
「…私はまだ答えを聞いていない」
「ここまで私にデレさせておいてまだ答えを聞きたいのか。察しろよ」
「言わないのならば…斬る」
「なにこれ理不尽…みっちゃん好きだよ付き合おー」
「軽い。斬る。」
「三成私の苗字やるよ」
「主人公………って待て逆だ」
「実は指輪も買ってあるんだ。子供の頃のだから玩具だけどな」
「主人公…!」

動かしづらい手で、昔からずっと持ち歩いている指輪をポケットから取りだせば、みっちゃんは頬を少し赤く染めて感極まったように私の名前を呼んでくれた。さすが私の嫁、最近はこんな顔見ることなくなったけど可愛いなぁ。

「みっちゃん…返事は?」
「………本物は、私が買ってやる!」
「うん、楽しみにしてるよ」

玩具だけど大事そうに指輪を手のひらに持つみっちゃんを見て、やっと初恋が実って、あたたかさに包まれた。




愛か死か
(みっちゃんかわゆすー)
(…苗字も私のをやるからな)
(うんー石田主人公だねやったね!)
(…裏切るな)
(みっちゃんこそねー)