いつの世も異端は疎まれる (7/31)





はーい!そういや忘れてたけど俺名前付けて貰ったぜー!
やっぱ無いと不便だからな、うん。

それで、その名前というのは前世の俺の名前だったわけなのだが。
まぁ普通に王道。面白味も何もないが言わないでおこう。


そういやつい最近知ったことだったのだが実はあいつも転生者らしい。俺がミスって英語使ったらむっちゃ食いついてきた。まぁ普通知らないもんな、この時代英語なんてねーし。あ、時代もちゃんと教えてもらったぜ?戦国時代、天文だっけ?ごめん忘れた。
まぁそんなこんなで俺も転生者と言うことがわかり余計に俺等の仲は深まったわけなんですが…


「…ねーかすがぁ、お願いだからいい加減放してくれない?」

「…………。」

「…だめか」


なにやら父ちゃん(パパを希望していたみたいだが普段それを使うわけにもいかない。つーか使う気もない。)が連れて来た女の子らしい子供。手ぬぐいで頭を隠していることからなんとなく俺と似たような理由なことがわかった。見たことは無いが、その手ぬぐいの下にはきっと日本人離れした髪色が広がっているのだろう。まぁ俺はどんな目で見られてもどんな陰口を言われても目立ちたいから隠したりなんかしてないのだが。(あれ?これ忍としてだめじゃね?なんていってはいけない。)

あ、そうそう。俺はやっとこの世界がどこだかわかったってのもあったな
いやまぁこのかすがってのがいてくれたおかげと、父ちゃんが婆裟羅者だったっつーおかげなんだけどな。

俺が猿飛佐助成り代わりなのも理解した。ぶっちゃけ超テンション上がったけどあのこやっさんボイス聞けないのに気づいて撃沈しつつそういや自分こやっさんボイスじゃね?ってことに気づいてまたテンションは上がった。いやまだ声変わりしてないからこやっさんボイスじゃないけどな。


話を戻すが、俺は今から忍術の修行が始まるのだ。だが、一向にかすがが俺を放してくれない。理由はわからない、さっきからずっとこの調子なのだ。


「ねぇかすがぁー、早く行かないと怒られちゃうんだーって…」

「………」

「…うーん、じゃあもう一緒行く?」

「(こくこく)」

「マジでか。んじゃま、一緒いっちゃおー!」



△▽



「つーわけで連れて来た」

「お前は馬鹿か、馬鹿かお前は。」

「大事な事なので2回言ったんですよね、わかります」

「どーすんだよ、かすがにゃまだ早いぞ」

「んーだって放してくれないし、理由もわかんないし。」

「どれどれ俺が聞いてやろう…かすがちゃーん、どうちたんでちゅかぁー?」

「どんだけ馬鹿にした聞き方なんだきもす」

「佐助は200のダメージを受けた 佐助は拗ねてしまった ▽」

「かすが、こんなおじさんほっといて修行しようか」

「(こくり)」

「なにこの子らなんで俺にこんなに辛辣なの」


酷い!とどこから取り出したのか白い布を噛んでキッー!とやっているおじさんはほうっておいて、俺はかすがと苦無投げの練習をする。かすがは確かにうまい、だがもうちょい合う武器がありそうだ。というかあの糸(かな?あれって?)だ必要なんだと思う。もうちょい大きくなったら使わせてみようと思った。

それから師匠(修行中はこう呼んでくれと言われた)も復活し、3人で仲良く修行を行った。修行が終わった後、父ちゃんはかすがに話かけた


「なぁかすが、今日は随分有無にべったりだったが…お前一体何聞いた?何言われた?」

「………」

「黙ってちゃ、わからねぇぜ?」


まるで知っているかのように話す父ちゃんに少し、ほんの少しだけなんだこいつ。と思うがきっと間違ってはいないだろう。かすがは、誰かに何かを言われた。誰かが何かを言っているのを聞いてしまった。というのは俺も予想していた。まぁ、言ってこないってことは聞かれたくないんだと思って聞かなかったのだが、聞いた方がよかったのだろうか?生憎俺にはそこはわからない


「ほら、ぜってー怒らねぇから言ってみ?」

「………が、」

「ん?」


「みんな、が…有無を…鬼の子だって、……関わるなって…」


かすがから言われた言葉はある意味衝撃的だった。
え?俺?俺の話なんそれ?いや確かに髪のせいとかあって俺良い目で見られて無いけど、え?かすがが言われたんじゃなくて俺なの?それをかすがは聞いちゃったわけ?

俺が混乱に陥ってる中、かすがは涙目になりながら続きを話す


「有無、鬼なんかじゃ…ない、のに…有無は、すごいけど、ふつうの…ひとなのに!みんな、おにの、こだって…!」


終いにゃボロボロ泣き出しちゃって、え?なにこれ?どうしようこの子、超可愛い。持って帰っちゃっていいかな?もらってっちゃっていいかなこの子??
と、俺も俺で混乱していれば、父ちゃんがすっげーニヤニヤして俺のことをつついてくる。今度ロリコンって言ってやろう。今決めた。

とりあえず親友にやっていたみたいに頭を撫でる。いやぁ俺末っ子だったから小さい子の世話とかなれておらんのよ、親友だった子は実質姉だったけど俺と一緒にいるときはどっちかといえば俺が甘やかしてたくらいだし。
とりあえず撫でて撫でて涙を拭って、柄にも無く笑いながらありがとうとか言っちゃって。


その後泣きつかれて寝てしまったかすがをおんぶしつつ、父ちゃんに絡まれるのであった



いつの世も異端は疎まれる
(でもこんな疎まれ方なら、いいかもしれないなぁ…)
(…なにお前、ドM?)
(勘違いしてんじゃねーよロリコン野郎が)
(酷い!)