ゆめはうそでできているけれど、 (6/31)





あれからとにかく俺は拷問か!と叫びたくなる程の試練に挑戦させられまくった。いや本当辛かった。毒の耐性つけるために毒喰うとか本当馬鹿じゃないか、死ぬかと思った。
あと他には鬼ごっこしたり(足の速さ鍛える為、でもあれはもうリアル鬼ごっこだ。なんだ捕まったら拷問って。怖い怖い。)気配や殺気を悟れるようになったり(本気で苦無投げてくるんだもん、死ぬ気で覚えるだろそりゃ)薬草の見分け方教わったり(ミスるとそれ食わされるから大変だ!)

とにかく、よく死ななかった自分…!とめちゃくちゃ己を褒めたのは言うまでもない。
つーかあれじゃね?別にそんな大層なこと求めてないとか長さん言ってなかったっけ?え?もしかしてこれで大層じゃない?そんなこと言ったら俺泣くぞ。泣いて家出する。


まぁそんな過酷すぎる予習をし、今本番真っ只中の最中であった。


「…ふむ、筋は悪くない」

「磨けばもっと伸びるだろうな」


こっそり聞いていれば、どうやら俺の評価は悪くは無いらしい。ほっ。


「だが…やはりなぁ…、」

「…頭が………」


審査員役の人の視線が、しぜんと俺を見る。見る、というよりは醜い物を見るかのような、あの嫌悪とかに混じって気持ち悪い視線だ。
はぁ、やっぱり橙色の頭ってのはよろしくないらしい。まぁ全然忍べない忍びになっちまうしな。
つかこの髪って見方によれば茶髪にも見えね?あれ?茶髪もだめなん?でも純日本人でも茶髪は入り混じるぜ??まぁどうでもいっか。

俺がそんな人間を無視し、『これで終わりか』という意味を込めて兄ちゃんを見る。兄ちゃんは無言で、頭を撫でてくれた。あれ、どっちなんだ結局。


それから試験終了となり、解散となった。いやまぁ解散っつっても俺はまだ修行があるんでいろいろやってるんですが、

ちなみに今は苦無の投げ方練習中なう。
最初はダーツみたいに止まった的に投げて、それがうまく狙った場所にいくようになれば今度は動いてる的。
身体能力が前世より格段に上がった俺は、とにかくなにをしてもうまくできていた。


「おぉー!本当すげーなお前!そろそろ術式覚えさせても大丈夫そうだ!」

「えーやだよもうあんな拷問みたいなのー、俺様泣いちゃいそう!」

「うは!泣け!泣いて俺に抱きついて来い!!」

「黙れ糞爺」

「超辛辣!」


最初のクールな印象はただの上辺だけだと気づいた俺はもう容赦なく毒舌を発揮する。まぁ別に俺毒舌なわけじゃねーけど、ちょっと女の子としては口がちょーっと悪かったくらいだけど!!

まぁそんなわけで俺と兄ちゃん(そういや年齢聞いたら30代だったな…うっそだぁって思ったけど本当らしい。兄ちゃん呼び改めた方がいいか?)は中々良い関係を築けてると思う。俺がそう思ってるだけでこの兄ちゃんがどう思っているかなんて知らねーけど。

できれば上辺だけの関係じゃないことを、願いたかった。



ゆめはうそでできているけれど、
((前世は嘘でできていた。今世は、嘘でできてない…と、信じたい。))
((いやーなんか息子ができた気分!))
((どっちにしろ、洞察力を鍛えなきゃいけないのは同じのようだ))
((今度父ちゃんとか呼ばせようかな?いや、パパがいい(キリッ))