客人、来る! (29/31)





「…真田昌幸が息子、弁丸と申しまする」

「…ふうむ、甲斐の虎、武田信玄」

「「………」」


…え、なにこの空気。何この威圧感ぱない。俺様こんな空気知らないんだけど、え?俺様達は黙ってればいいの才君?…あ、才君もわからないのね。そりゃそうだよね。普通忍って屋根裏待機だもんね。なんで俺様達若様の隣に座ってるのかなぁ?

内心だけでおろおろしていれば、隣にいる弁丸様に小突かれる。え?何?自己紹介する系なのこれ?忍って自己紹介していいのこれ?『  』教えて!!


「あーっと…猿飛佐助です」

「…霧隠才蔵、です」


とりあえず俺様が自己紹介すれば、才蔵も流れに任せて自己紹介する。本当何この空気、誰かなんか喋ってくれないと俺様もう潰れそう!!!
一応表情は無表情なのだが、まぁ内心はへたれ全快なわけで…

そんな俺様を見かねてか、若様が口を開いた


「…して、今日は何用で?」

「うむ、友が討たれたとなって様子見をしにきてはいけんか?」

「滅相もありませぬ。父上も喜んでおられるでしょう」

「さようか。…真田の、忘れ形見か…」

「………」


…えー、なーにこの腹の探り合いみたいなの。さっきはお願いだから喋ってって思ってたけどこんな空気になるくらいなら喋らないで欲しいんだけど。本当若様黒くなっちゃって…いやいいんだけどね?子供ならではの強がりみたいなさ、いやこんな強がりしてほしくないけど。俺様に当たらないでね!

数秒双方のにらみ合いが続き、先に笑い出したのはやはりというべきはお館様だった。(あ、アニメに癖でお館様っつっちまった…喋るとき気をつけよう。)


「ぶあっはっはっはっはっは!さすがは真田のよのう!肝が据わっておる!」

「…?」

「ふうむ、ここまでとは…だが友との約束じゃ。ぬしよ、武田にこぬか?」

「武田、でございまするか?」

「うむ。その忍もぬしのものだろう。ぬしらも武田にこい!」

「…だってよ若様?」

「………うむ。信玄殿。それは父上の申し出でしょうか?ならば某は何も言いませぬ」

「…確かに昌幸との約束じゃ。だが…わし本心の言葉でもある。」

「ほう」

「柄にも無くぬしが欲しくなった。…こぬか?武田に」

「…真田は、どうなりまするか?」

「…どうなる、とは?」

「父上が無き今、存続するには某しかいますまい。だがその某が武田に身を置くということは…」

「…真田を武田で吸収する、といえがよいか?」


…はい、途中だけどちょっと俺様の思考が介入しますよー。別にとめられなくなったわけじゃないからね?先が思いつかなくなったわけじゃないからね??いや、ただ単に俺様が空気だったからでしゃばったにすぎないんだけど!てゆうかなにこの空気!怖い!重い!才君も空気貫いてるし!もう俺様目立つの大好きだからさー、いや面倒なことは空気貫いて知らん振りが定番だけど。てかさてかさ、まじ若様こんな性格だったっけ?俺様若様のときだってここまで大人と対話できるぐらい肝は据わって…たな。うん。むしろ周りに大人しかいなかった。子供より大人と喋ってるほうが楽しかった。俺様おかしいね、友達の親と仲良かったんだもん。人のこと言えねぇや俺様。


「……お世話になりまする」


あ、対話終わった。



客人、来る!
(…佐助、ちゃんと話聞いてたか?)
((ギクッ)えーやだなぁ聞いてたに決まってんじゃーん!)
(………。)
(ごめんなさいもう怖くて別なこと考えてました)
(…はぁ、)