俺様と才君 (21/31)
一通り、落ち着いてから俺達は場所を移動して今まじめに対面している。さい君の怪我は一応応急処置はしてあるみたいだから、安心した。安心という感情が生まれるくらいに、さい君は俺の中で大きいんだと思った。同時に俺代わり見つけるの早いなと驚いた。いやいいんだけどね。
「………」
「………」
そして、場所移動してから…いや、する前からか。する前から俺もさい君も口を開いていない。なんてゆうか、いや気まずいんだけど、口を開いても喋れる気がしないというか、いや?違うな…まぁ、距離を測っているというかなんというか、そんな感じなんだ。いやぶっちゃけ俺もう辛いんだけど。たぶんこれ絶対俺ソワソワしてるよ。だって俺別にシリアス好きじゃねぇもん!見るのは好きだけど自分がその状況に置かれるとなっちゃー話は別なの!わかる!?わかって!俺様からのお願い!
「…おい」
「(うわっほい!)ん?」
そんなことを相手も考えていたのか、急に声をかけてきた。たぶん肩がビクッてなったのは隠せなかっただろうけど奇声をあげるのだけは根性で押し込めた。偉いよ俺様!
「…お前、名は。」
「……晋助、晋ちゃんって呼んでね〜?」
「………。」
「……はい、次期猿飛佐助のさすけです。ふざけてまじすんません。」
あれー?俺様一応精神年齢は成人済みだよね?なんでこんな子供に眼力で負けてんだろ…。つか殺気とか大人の睨み殺すような視線全然平気なのにこの子の無言の圧力に負けるほうがおかしいよな?でもなんか逆らえない。例えるならあれだ。お母さんに怒られてるときだ。先生に怒られても平気なのにお母さんに怒られるととたんに縮こまるような、まさにそんな感じだ。
頭を下げながら相手の出方を待っていると、さい君は小さく溜息を吐き、「霧隠才蔵だ。」と本名を告げてくれた。 …いいのかさい君よ。いや、俺も次期猿飛佐助とか言ったけどさ。あれ?つか才君俺様と同じくらいだよね年齢?もう名前受け継いでるのか。凄いなぁ。
心の中で関心しつつ俺は頭を上げる。けど才君は表情全く変わってない。表情変化の貧しい子供なんだな。
「きりがくれ…ってゆーと、あれだよね?甲賀の里とは確か仲悪かったよね?」
「ああ。というか俺の里はどことも仲良くない」
「へー。んじゃ才君はなんで俺様を助けてくれたのさ?」
「…気まぐれだ」
「そ。俺様運いいのねー♪あ、そうだ才君。才君さ、今どっか仕えてる?」
「………」
「俺様さー真田家?まぁ、弁丸様?に仕えてんだけどさ。もうあそこおかしいよ。なんで真田家当主が護衛忍と喧嘩してんのって話でさー!毎回逃げてたせいか俺様足早くなっちった☆」
「………お前、空気読めって言われたことないか?」
「今言われたね。それ」
そう言い返せばまた才君ははぁ、と深く溜息をつく。あはーごめんよ才君。俺様駆け引きとか得意じゃないんだ。子供装ってKY発言した方が楽だろ?まぁ、それで才君がぶちぎれて俺に襲い掛かってくるか俺様を恨みこもった眼で見てくるかは二の次だったんだけどね。まぁ、呆れならいい方かな?…ん?いいのか、これは。
「まぁまぁ才君。俺様と才君の仲じゃないか!」
「一応会うのは二度目なんだが」
「昨日の敵は今日の友っつーだろぉ?つまり一度目が知り合いで二度目が友達なんだよ」
「全く意味がわからん」
「初対面以外は全部友達!」
「めでたい頭だ」
…あれ、今ばかにされた?
俺様と才君 (あ、んでさー才君。どーせ行くとこないなら俺様と一緒こない?) (……お前は本当に心遣いがないんだな。人の傷に塩練りこんでそんなに楽しいか) (俺別にそんな酷い趣味はないよ。ただ才君一緒に来るなら俺様と毎日行動ね。) (なぜだ) (俺実は今も迷ってここにいr) (なんだただのばかか)
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