されど時は残酷に、 (19/31)





今日もまた、約束通り里へと行けば途中で長に呼び止められた。かすがに会うんだったらついでに暗殺依頼を渡しといてくれって。俺は二つ返事で了解しつつ、長がいなくなったのを見計らって依頼が書いてある手紙を読んだ。


「………はぁ、やっぱり。」


内容は上杉謙信の暗殺。原作通りになるなんてわかりきってないけど、でもやっぱり、行って欲しくない。かわいい妹みたいな存在なんだもん。親友とはまた違う存在。うーんこの任務かすがに渡さないで俺様がやっちゃおうかなぁ…、いや、無意味か。ただ少し時間が延びるだけであって結果は変わらないだろう。原作沿いなら尚更。原作に戻そうという力が発揮され結局かすがは軍神に会う。まぁこれが本当に原作沿いなんかじゃなく、全くオリジナルの話なら、少しは違うんだろうけど。

けどまぁ、全く別のオリジナル話なら、軍神暗殺して、帰ってくるよね?

低い確率を考えながら、俺は手紙を元に戻しかすがのもとへ行った。



▽△



かすがに手紙を渡したあと、少し話してかすがはすぐ任務に行ってしまった。まぁいつものことなんだが。雑談より任務優先なのは当たり前だからな。
暇を弄びつつ、任務対象を殺す。ああ、俺様も実は任務入ってたんだ。長からのじゃなくて昌幸様からのがね。子供の方が簡単にできるだろうって任務だったから俺様が抜擢された。ま、正しい判断だよね。これで子供だからって理由で任務任されなかったら俺様家出してるところだったよ。だって忍としての感とか鈍っちゃうし。うわー俺結構戦国色に染まってきたなぁ…、うえ。

鼻に付く血と泥の臭いに顔を歪めながら苦無についた血を振り落とす。ああもう、煩わしいなぁ…。肉の断面図相変わらずきもいなぁ…。


「……かすがは、大丈夫かなぁ…?」


誰もいない場所で、そっと呟いた。


同時刻、かすがが裏切ったと里に報告が入った事実を、まだ俺は知らない。



されど時は残酷に、
(俺の望みもしない方向へと)
(進んでいくのだ)