真田家の日常 (17/31)





「さすけー!」

「はいはい若様、どーしました?」

「おぉ!そんなところにいたか!いっしょにだんごをたべようぞ!」


キラキラとした笑顔で俺にいってくる若様。うーん俺様これでも忍なんだけどなぁ…、予想はしてたけど本当にこのパターンとは。
無下に扱うわけにもいかんので心良く承知する。家臣達の視線が酷いがそんなもの知るか。俺だって団子食いたいんだよボケェ!甘党なめんな!


「うむ、やはり佐助の団子はうまい!」

「そうですねー」


父ちゃんまじSUGEEEE!やべえよかなりうめえ!
二人でもちもち食べてると、昌幸様が来るのがわかった。あ、気配でわかったんだよ?


「さすけ、弁丸!」

「! ちちうえ!」

「昌幸様、って若様口汚したまま抱き着いてはいけません」


ジャンプして昌幸様に飛びつこうとする若様を寸でのとこで止める。そして懐から布をだし口を拭いていると、頭上から笑い声が聞こえた。


「…昌幸様……」

「ぶふ…いや、く…さすけ、お前、くぷぷ…も、板についたなぁ…ぶほっ」

「…若様、行け」

「え、ちょ、ごめ…ぎゃあああああ!」


受け止める体制ができていないままの昌幸様に若様を突進させる。若様は加減も遠慮も知らないので大人顔負けの力で思いっきり昌幸様に突っ込む=昌幸様の腹筋は死亡。

完璧だ。

「グハッ!」と声を上げ倒れる昌幸様。若様は純粋無垢な笑顔で昌幸様を見ている。俺様は知らないふり。ほら昌幸様、父ちゃんならそのくらい笑って済ませるか冗談で死んだふり(半分本気)するか大人気ない勢いで反撃してきますよ。早く反応を返してあげてくださいな。そして若様のいないところでぶっ倒れてくださいよ。そうじゃないと父ちゃんに勝つどころか同等の位置に立てませんよ。
たぶん最後のセリフを言えば父ちゃんより凄い強がりを見せてくれるだろう。まぁ、言わないけどね。若様に聞かれちまうし。


その後根性で起き上がった昌幸様は任務から帰ってきた父ちゃんに八つ当たりし、そのまま喧嘩へと突発した。


「お団子うまいねー、若様」

「さすけ、あれはとめぬでいいのか?」

「あれは見ないふりしなきゃだめだよ若様。あとあんな大人になっちゃだめだからね」

「? わかったでござる」


あー、お茶苦ぇ…



真田家の日常
(昌幸の馬鹿!アホンダラ!給料上げろ!)
(煩え!黙れ!減給してやる!)
(父ちゃんが負けるに一票)
(ちちうえがまけるはずないでござる!)
(俺の味方はどこ…)