不思議少年才君 (13/31)





と、まぁあんな話を父ちゃんから持ちかけられ数日。
今日は約束の日である。

かすがには悪いがお留守番をしてもらい、父ちゃんと真田城?まぁ、真田さんのお家に向かっていた。そう、向かっていたんだ。いたんだけど…


「…ここどこ?」


確か、父ちゃんと一緒に真田さんのお家に向かってる最中で、父ちゃんが「ついでにちょっと用事すませてくるからこの先にある町の団子屋で団子でも食って待ってろ。あ、ちゃんと変化するんだぞ?」といってどこかに行ってしまい、俺は父ちゃんの言葉に従ってまっすぐ町に向かっていた…はずなのに。

なんでここには木しかないんだろうか?


「やべぇよ絶対迷子だよこれ」


あれ、確かに俺前世じゃ酷い方向音痴だったけど今回森に住んでたとき平気だったよな?…あぁ思い出した、あれいつも動物さん達と一緒に行ってたからだ。動物さん先に行くんだもん、追いかけてただけだよな。俺。

さぁてどうしよう、変化の術やっておいた方がいいか?なんて思ってとりあえず適当に歩ったり周りを見渡していると―


「だれだ」


急に誰かに声をかけられた。声の発生源を探れば俺の真上――つまり、木の上にその誰かさんは立っていた。


「そっちこそだれさ」

「質問してるのはこちらだ、きさまはだれだ。」


硬いお子様だなぁと思いながら名前を言うか否か悩む。うーん、猿飛佐助とは絶対言えないし、第一この子俺と同じ忍だよな?うん、余計言えねぇや。そうなると今使ってる前世の名前もだめだよなぁ…

一瞬でいろいろと考え、とりあえず偽名を使うことにする。
適当に…キャラクターの名前でいいよな←


「俺様は晋助!晋ちゃんって呼んでね〜♪」

「………。」

「そっちはそっちは?俺様教えたんだからちゃんと教えてよ!」

「………才だ。」

「さい?さいね、さい。覚えた覚えた!さて、んじゃさい君。俺ひとつさい君に聞きたいことがあるんだけど?」


結構子供っぽいノリでいけば、彼は少しだけ警戒を解いてくれた。ふふふ平成人なめるなよ、忍になるため過酷な修行はしてるけど現代人になりきるなんて造作もないのさ!きゃあ俺様かっこいー!!

1人地味に思考がトリップしていれば、さい君は少したじろぎながらも「なんだ」と言葉を紡いでくる。うんうん、俺さい君好きだ。冷静お人よしタイプと見た。


「えっとさー俺町に向かってる最中だったんだけど、さっき猫がいてね?追いかけてきたら父上とはぐれちゃったんだよねー。」


町までの道わかる?と続ければ、さい君は少し考えた後「ついてこい」とだけ言って歩き出してしまう。俺は「ちょ、行動早い!」って言いながらさい君についていった。




それからさい君は町が目の前まで見えてくると「あそこだ。もう1人で行けるだろう。」と言って帰ろうとする。だから俺はそんなさい君の背中に呼びかけた。


「さい君ありがとー!次会ったらよろしくねー!」


なにがよろしくなんだろう、そんな疑問をもっただろうが彼はさっさと森の中に消えてしまう。さて、次会うのは何年後だろうか?絶対あれはイケメンに育つな。さすがBASARA、モブでも美形とかマジパネェ。

それから団子屋で団子を食し、父ちゃんを待つ。
数分もすれば父ちゃんが来て、本当間に合ってよかった。と思ってしまったのは内緒だ。



不思議少年才君
(次はちゃんと本名で語れればいいなー)
(ん?誰かに会ったのか?)
(うん。候補1号に会っちゃった)
(お、よかったなー)