申す申す、私はまだいきてますか? (10/31)





あの恐怖のようなできごとから数日、俺は相変わらず受け入れず液晶の中のできごととして処理している。ちなみにかすがは慣れたのかなんなのか吐くことはなくなった。まぁ俺も吐くことはなくなったけどね。強がって見てるときに吐かないで誰もいないの確認してから隅っこでこっそり吐く、というのがいままでの俺の現状である。人前で吐いたのは初日だけ。たぶん気づいていただろうけど見ないふりしてくれてた父ちゃんに感謝だ。

あと殺さなきゃ殺される、と本能でわかっているのか殺すことに関して抵抗はなくなった。少しだけ。まだやっぱ怖いというかぶっちゃけた話肉の断面図がきもいというか…。


もう、頑張りたくないなぁ。
だいたいなんで俺頑張ってるんだろう、嫌なら逃げればいいだけなのに。

苦無を磨きながらいろいろ考える。昔ならすぐに逃げ出していただろう。だが俺に逃げる場所なんてない。死という逃げ道があるけど勇気がないから諦めた。抜け忍になったところで結果は目に見えてるし、まだ俺は子供だからもっといろいろ覚えてからじゃないと生きていけないだろう。たぶん。もしかしたらどうにかなるかもしれないけど。やっぱ甘い考えだよなぁこれ。そうだよ、俺は自分にとても甘いんだ。自分可愛いからね。無理しなくてもいい道を探すのが大好きさ。嫌いなことから目をそらすのだって得意さ。

でもそれは『俺』であって「俺」でない。
あのときの『俺』であって「俺」じゃあないんだ。


「…ってこれじゃあ二重人格みたいだ。」


らしくもない…わけでもないんだが、いろいろ考えて鬱るのは自分の悪い癖だと自負している。まぁもちろん切り替えも早ければ立ち直りも早いのだが。


心を殺せ、感情を殺せ。
洗脳のように毎日言わされている・聞かされている言葉を思い出し、少し泣きたくなった。


「いっそ殺せたら、楽なんだろうけどな」


父ちゃんが小さく呟いた言葉。父ちゃんは俺が聞いたことに気づいてなかったけどその小さな呟きはちゃんと俺の耳に届いていた。俺うさぎにでもなんのかな、最近聴覚も鋭くなってきてる気がする。どうやってよくなったんだろう?まぁ悪いことじゃないんで全然いいんだけど。しいて嫌なことをあげるとすれば合戦の悲鳴や怒声がよく聞こえるようになってしまったということだろうか?これしいてというか今嫌なことトップ10入りしてるんだけど。

父ちゃんは1回狂い掛けたんだと思う。俺の勝手な憶測だけど、当たってると思う。でなけりゃ、俺が毎回いろいろ考えて追い詰めて鬱ってるときに現れるわけがない。俺の場合ほっておいてもそのうち勝手に元気になるから、いっそのこと整理つくまで放っておいてほしいんだが。そのことを告げても父ちゃんは絶対聞いてくれない。必ず俺が1人のとき現れる。


おかしいなぁ、俺今の肉体年齢大体小学校低学年くらいだから、つまり前世の年と合わせると成人してるのに。やっぱり実際自分で気づいてる部分よりも奥深くに、酷い何かが眠っているのかもしれない。


「こればっかしは俺にも俺様にも、どうしようもないんだけどね」


まぁ、とりあえず。
壊れたくはないなぁ、と思いながら俺は今日の獲物を狩るのであった。



申す申す、私はまだいきてますか?
(壊れたくないけど、壊れた方が楽だよね)
(でももし戻れたとして感覚麻痺ってたら困るなぁ…)
(…眠い、なぁ。)