小ネタ 2 | ナノ

黒子/男主と黒子 A
2013/04/02 09:46(0)

※男主
※急にはじまり急に終わる




「どうして、バスケをやめたんですか」

「…それが聞きたくて、こんなところまで俺をストーカー?」


君も暇してるねぇ、なんて思いを口内で転がしながらバスケットボールを床に落とす。バウンドして戻ってくるそのボールを手のひらでまた叩いて、タン、タン、とゆるやかにドリブルをする。ゆるやかに、ゆっくりと、ボールが止まらない程度に、ほどよくリズムを整えて。

タン、タン、ターン、タン、ターン、タン

緩やかに、軽やかに。こんなドリブルを試合で使ったりしたら、二秒で俺の手からボールは取られて言ってしまうだろう。だから試合では使ったことはない。いや、正確に言えば、ミニゲームで使ったことは、ない。


「焦らさないでください。どうして、あの日にやめたんですか。あのまま続けていれば、きっと」

「無冠の五将ってさ、いるじゃん。俺の年代に。」

「…はい」

「そして、キセキの世代には幻の六人目。」


タン、タン、ターン
不規則なリズムを鳴らしながら、ボールは空を飛ぶ。そのボールを少し後押しするように、立ち止まって嘆いている子の背中を押して、他の子の輪に入れてあげるように、少しだけ後押しをする。
ボールはゆったりと弧をかいて、ストンとゴールへと入っていくのだ。入ったボールは、自分から俺のところには戻ってこない。当たり前だ。あれは、無機物なのだから。


「そんだけ天才がいるなら、もういいじゃん?何もしないでも負けられちゃうし。負けるのが決まってるっていうかさ。頑張らない人間からすれば、なんかもうやってる意味ないし。」

「でも、先輩ならもう少しだけ頑張れば僕よりもずっといいプレイヤーになれたじゃないですか」

「言っただろ、頑張らない人間って。」


転がっているボールを手にとって、もう一度。タン、タン、ターン。不規則なドリブルをする。

不規則で、不安定で、今にもボールが手のひらを避けて飛んでいってしまいそうだけど、彼はそんなボールを適当に操るのだ。
試合向きではないと、彼は言った。けれど、彼のボールは不安定すぎて逆に取れないということに、彼は気づいていない。もしかしたら、気づいたうえで言っているのかもしれない。
どちらにせよ、彼はキセキの世代とも、無冠の五将ともまったく別なタイプだった。特別運動神経が優れているわけでもない。特別パス回しがうまいわけでもない。特別が、ない。小金井先輩とはまた違う。なんでもそつなくこなすけど、全部が合ってないのだ。彼には。


「大体俺、別にバスケ好きじゃないし」


不安定に投げられたボールは、ゆったりとしていて、今にも落ちそうな勢いで飛びながら、ゴールへと入っていくのだ。




***
続きです。

男主のスペックを載せておくと、
黒子達の一つ上で元帝光中バスケ部二軍。途中で退部している。
黒子とは仲がよかった。今は誠凛高校に通っている二年生。バスケ部には入っていない。
バスケは好きじゃない、けれど嫌いでもない。お遊びでやるバスケが好き。勝ち負けは正直どうでもいい。
才能としては、きっと天才型。キセキの世代よりは弱いと思われ。

こんな感じですかね。
バスケに固執はしてない系主です。でもバスケ部とは仲良しです。バスケがやりたくないわけでもないので、部員ではないですがたまに付き合ったりします。そんな山も落ちも意味もなさそうな話が書きたかった賜物。


\続かない/


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