BSR/お前が生まれたワケを教えてやろう
2016/04/29 02:46(
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※俺何忍の番外
※未来ねつ造
※主人公=有無(ゆうむ)固定
※突然はじまり突然おわる
「お前が、猿飛佐助に選ばれたワケを教えてやろうか」
いつも爽やかに笑みを浮かべるその人は、なにを思い立ったのか突然そんなことを言い出しきやがりまして。
思わず、ぱちりと瞬きをひとつ。俺様のそんな反応が面白かったのか、その人はくつくつと喉を鳴らす。いやいや、そんな反応よりも、だ。
一体絵全体、突然なんの話をしだすのやら。仕事のしすぎでなにかと交信でも図ってしまったんだろうか。前々から人間を辞めそうだとは思っていたけれど、ついにか。ついに人を域を超えたのかこの人は。
「ああ、すまない。別に、人を辞めたわけじゃあない。ただ少し、借りているだけだ」
俺様のぐるりと回った思考回路を綺麗に読み取ったらしいその人は、眉をハの字に曲げながら嫌に軽く手を振って見せた。
…今この人、俺様の解釈違いでなければ、ものすごいこと暴露したわけだけど。いいのかこれ。いいのか?え、本当にこれ大丈夫なのか?俺様がむしろ人を超えてしまったんじゃあないのか、これ。いやまじで。
ぐるぐると考えはするのものの、ひとつも口にだすことはない。なぜって、それが今の俺様のポジションだから。キャラ設定だから。忠実に守る俺様ってかなり偉いと思う。
「…ああ、そうか。そうだったな。お前は今、猿飛佐助ではなかったな。はは、すまんすまん。…しかし、そうなると少し面倒だな」
ふむ、と悩むようにその人は手を顎にやる。身振りはいつも通りのあの人なのに、この人、さっきの発言まんまとるなら別人なんだよねぇ。不思議でしかないや。あんまり人のこと言えないけど。
うんうんと少し唸って、けれども特別思いついたこともなかったのだろうか。微妙そうな顔をしたままのそいつは、仕方がないといわんばかりに俺様に手を伸ばした。
「お前に、名を返そう」
猿飛佐助。さすけ。――有無。
風なんて吹いてすらいないのに、ぶわりと目の前がはじけ飛ぶ。今までの過去をすべてなぞるかのような感覚に見舞われる。遠い昔の平和な死から、生まれた憎悪も、落とした世界も。捨てた、存在さえも。
すべてがすべて、自分の目の前を駆け抜けるような感覚。自分では制御しきれないそれに、ひとつ大きく舌打ちをこぼしす。
そのままずるりと口を纏う布を外し、久々に大きく、息を吸った。
「ああ、やっぱりそっちの方が楽だな。すまないが、今はそのままでいてほしい。会話が成り立たないと、つまらないからな」
「あんた、…何者だよ、本当」
久々に震わせた声帯は、あの頃と同様の音を擦れることなく紡ぎだす。その感覚にさえ、思わず、背筋が震えた。
「お前もよく知っているだろう。わしは、徳川家康。この世界を統べた王であり、…お前が知らない、遥か遠い理の存在だ」
くつりと笑う。その笑みの作り方は、まったくもって普段のあの人と変わりはしない。ずっとずっと作り続けたその笑みの形。それこそが、彼が徳川家康その人だということを知らしめている。
―――ああ、なんだか、面倒くさいことになった。
久しぶりにお腹のあたりが渦巻くのを感じながら、人であり、人でないその存在へ、俺様も笑みを向けてやった。
お前が生まれたワケを教えてやろう
(今更そんなもの、いらねーよ『カミサマ』)
(まぁまぁ。――そんなこと、言わずに)
***
東軍勝利後に服部半蔵と入れ替わってる(家康は知ってて放置してる)猿飛佐助のもとになんかきた話。
ちょっとー!久々にー!BSRが書きたくなったーーー!
っていうのが最大のいいわけです。最初は続きを書こうと思ったんですが、文体が変わりすぎてて心が抉られました。続きとかもう書ける気がしない。全部書き直したいです。
でもなんだか久々に佐助主書いてて楽しかったので…なんかこう…頑張りたいなあ…。…むりかな。
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