小ネタ 2 | ナノ

BSR/戦国武将がトリップしてきましたが彼らは現代人でした
2014/01/10 21:20(0)

※逆トリ
※急にはじまり急に飛び急に終わる





いつもどおりの日だった。なんて変哲もない、いつもどおりの日。適当にテレビをかけて、うだうだごろごろとスルメをかじりながら過ごしていた、なんの変哲もない、日常コマ。ゲームもしてなければ家にいなかったわけでも、何か壊したわけでも誰かの声を聞いたわけでも、なんでもない。ほんっとうになんでもない。外は別に雷雨防風大雪でもない。すごくくどいようだけど、本当に、なんでもなかったんだ。

テレビを見ながらスルメをかじって、丁度いいシーンに差し掛かった次の瞬間に、何もない空間から人が落ちてくるまでは。


「ぎゃあああああ!」
「「またこれかよおおおお!」」


ぶわりと唐突に降って湧いた人間に、私は思わず女らしからぬ叫び声をあげて。唐突に降ってきた人間たちもまた、なにやら意味不明な叫びをあげながら、お互いに潰しあって落ちていた。

ほんとうに、なんにもしてなかったのに、どうしてこうなったよ。
おかげで犯人の動機見逃したろ、ちくしょうが。


***


考えなくても彼等の見た目で理解せざるを得なかった。そうかトリップが了解した。そう私がつぶやけば、痛い重いと叫びながら人間ポールをどうにかこうにか解除した彼らも、げんなりとした表情を浮かべて「世話になってもいいですか」と問うてきた。

いや、まさかのお前ら経験者か。そっちのがびっくりだわ。

思わずそうつぶやけば、帰ってきた返事は生ぬるい笑い声。なんだろう、初対面だし、私完全に関係ない人間なのに、彼等に同情しか覚えない。とりあえず、私は姿勢を但しながら、これからのことを考えるのだった。


***


「…ええと、何回経験してんのかわからないんだけど…現代のことはよく知ってると見てもいい?」
「まぁある程度はね…」
「回数はふた桁は突破してんな…」
「もう某、こっちの菓子にもだいぶ慣れてきたでござる」
「とかなんとか言いながら人のスルメ食ってんじゃねーよそりゃつまみだ」

幸村からスルメを取り上げ、簡単に情報交換をする。ふんふんなるほど、つまり戦国からきた現代人ってか。なるほどわかった、じゃねーよ。なんでだよ。なんでそんなにトリップしてんだよ戦国武将。完全に現代慣れしちゃってんじゃねーか戦国武将。こいつらどんだけ婆娑羅強いの?それとも時空歪めちゃう何かがそんなに頻繁に起こるの?なんなの?死ぬの?最初の方は神様ってやつも出てきてたんだろうか、気になるけど、なんとなく踏み入っていい話なのかもわからなくて適当に切り上げた。


「でも今回は俺らのこと知ってる姉ちゃんで良かったぜ…三回連続知らねえやつのところ行くのつれェ…」
「逆ハー希望者んところにぶっ込まれるよりはよくなーい?俺様もうあれだけは無理…」
「よいであろう、不審者と言われ追い出された時よりは衣食住全てくれる者の方が。」
「じゃあ毛利の旦那次逆ハーっ子のところいったら変わりやってよね」
「我は独り立ちの方法を知っていてだな…」
「やっぱやりたくねーんじゃん!」


目の前で繰り広げられる手馴れた会話。お前らは夢女子かと言いたくなる。いや、現実はもっと過酷らしいが。
戦国武将から逆ハー希望者とか逆ハーっ子とか出てくるって、こんなにもロマンのないものだったのか。しみじみと新たな感覚に浸っていると、今まで口を開かなかった風の悪魔こと風魔が、本来ならば開かないままでよいはずの口を開いた。


「主、ここに、パソコンというものはあるか?」
「え、ええ、いや、あるにはあるけど…てか喋れんの」
「………………」
「その質問には聞き飽きたってよ」
「いや喋れるなら喋れよ、なんで翻訳させてんだよ」


というか私が質問をしたのはこれがはじめてである。ムカツクなこいつ。そう思いながらも、適当にパソコンを一つ差し出せば彼はそっと両手で受け取って、

次の瞬間はテーブルと椅子に座り電源をつけていた。

いやはやい。見えなかったはやい。今目の前にいたろはやい。
思わず二度見すれば、ほかの武将たちはいつものこと、とでも言いたげにスルーする。あれいいの?あのままで。ねえ。ちょっと逆トリっ子預かる初心者にもっと優しく!!!


「あぁ、気にしなくていいよ。風魔パソコン中毒なだけだから。現代いるときはパソコンいじってないと死ぬ病気なんだわ。」
「なにそれ戦国時代にいるときやばくね」
「おう、俺にパソコン作れって言ってきやがったときがあったな!まァさすがの俺でも作れなかったけどよ。俺が作れるのはテレビくれェだぜ…」
「…これはなんで戦国時代でテレビ作る材料があんだよ、って突っ込むところ?」
「そのツッコミ、アンタで5人目。やったね!」
「ほんとアンタら一体何回トリップしてんの???」


だから軽くふた桁だってばーっと人の家のせんべボリボリ食いながら言う佐助に軽く殺意が湧きつつも、ふうむと考える。別にこの狭い家でもいいというのなら、暮らせないことはない。けれどまぁ、たかだか私ひとりなどの財力等知れているもので。


「うーん、生憎私補正もなにもないから、各自バイトしてくれる?」


バイトじゃなくても、住は許すから、衣食は自分で整えて欲しい。いや、最低限なら衣も用意できるけど、大の男が片手で数え切れない人数もいるのに私の稼ぎでは無理だ。寝具が欲しい?大丈夫、絨毯と座布団はある。なんならバスタオルもつけてやるぞ?え?いらない?そんな遠慮しなくても〜、と、ふざけてなくて真面目だからね。そんな驚愕しないでね。家追い出されたときよりはマシなんでしょ?
にっこりと告げれば、各自微妙な面持ちになりつつも、どうやら前にも似たような展開があったらしく(もしくは追い出されたときに身につけたことを思い出したのか)渋々ながらも了承してくれた。普通に考えてみろよまったく、たかが女ひとりに男大所帯が養えるかってんだ。


こうして、なにもなかったはずの平々凡々な私の日常は音を立てる暇もなく崩れ、現代慣れしすぎた戦国武将という文字にするとテラシュールなゲームの登場人物たちがゲームの世界に帰るまで続く日常が、今、







はじまらないのであった。
ちゃんちゃん。

はい。はじまりませんよそんなもの。というか、この「BSR組が逆トリを既に経験している」というのが元ネタ?というか、大元であり、言ってしまうと元々書こうとしていたのはもっとこう、シリアスじみたお話の予定でした。はい、見事にギャグですよね。どうしてこうなったのは私にも全くわかりません(白目)

本来は、BSR組は二回目のトリップというものでした。一回目は王道逆トリで逆ハー家庭を築き、恋をし、けれど主人公は戦国の世に連れて行けず、自分がまた行けると思って行った先は全く知らない人物のいる部屋だった。そんなお話の予定でした。
もしくは、一回目のBSR組がトリップした先は、声も顔も家も全て一緒だけれど、決定的に性格が違う、パラレルワールドの自分のもとへトリップしたBSRが我が家にやってきたというお話。

この二つのどちらにするかで悩みながら書いていたはずなのに、いつのまにか第三の道が開かれていました。もう一度言います。どうしてこうなった。

ちなみに上記の述べた設定では、自分じゃない別の誰かを求める武将とそれにキレる主人公というイベントまで考えて…いや、むしろそれしか考えていませんでした。お前らが求めているのは私じゃなくて別人だろう。それはわかる。けれどそんなことを私に求めて駄々をこねるならば、この家出てって自分で探せ!というのをもっとシリアス調にした感じです。ちなみにそこから先が思いつかなかったので、そこまで書いて小ネタ部屋にぽんしようと思ったのがはじまりです。はい、こちらもう既に前提設定以外の原型がありませんね。もう一回言っておきましょうか。どうしてこうなった。どうしてこうなった!大事なことなので、付け足しておいてみました。


もしかしたら続きはストーリーが思いついたら書くかもねー、とだけ。まぁ思いつかないでしょうから、言っておくというだけのことです。はい。



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