小ネタ 2 | ナノ

BSR/あの日の悪魔の話をしよう
2013/12/09 03:17(0)

※あの日の悪魔に出会ったものの前世視点のような何か
※独白ですキャラ出てきません




笑う彼等が怖かった。痛いのも怖いのも嫌だった私は、とにかく逃げ出した。追いかけられる恐怖は、身をもって知っている。彼らは私の意思を尊重しているのか、それとも弱りきったところを狩るのが好きなのか、すぐには追いかけてはこない。笑いながら、じわじわと、泥水に足を埋めるような速度でじわじわと追い詰めてくるのだ。ゆっくりゆっくり首に手をかけられるような、そんなじわじわとした恐怖。首にまで手がきたら、そこから徐々に徐々に力を込められる。微弱でしかない、ただ触れているだけの手から、だんだん締めるために力が入れられていく感覚を、私は生涯忘れることはないだろう。楽しそうに、それはもう本当に無邪気に笑う彼等は、私にとって悪魔でしかなく、死の象徴そのものとも言えた。捕まったときが、私の死だと。本気でそう思う程度には追い詰められていた。けれど自殺するのはやっぱり恐くて、何度も泣いて叫んで、ときには吐いて、結局私は殺された。自殺でも飼い殺されたわけでもなく、ただただ純粋に、逃走中に戦に巻き込まれて死んでいた。めらめらと燃える炎に飲まれ、完全に絶命していた。あつくて、いたくて、こわくて、酸欠でくるしい、もう二度と味わいたくない死に方だったけれど、けれど私は、彼らの手にかかることなく死ねることにホッとしていた。死をあれほど恐れていた私が、その死に安堵するだなんて、どれだけ追い詰められていたのだろうか。今じゃ全くわからない。けれど、わからないけれど、ひとつだけわかることがある。私は、もう一度彼等と合うだろう。10年か、100年先かはわからない。けれど、私は絶対にもう一度、彼等とまた巡り合うことになるだろう。思うだけでそれは怖いことだけれど、もう少しだけ踏ん張ることにする。私の願いはひとつだけ。幾度巡り合おうとも、記憶からは、私の記憶はゼロからの始まりであることだけ。彼等に対する警戒だけは、体に身にしみてしまっている。けれど記憶というものが、邪魔をするだろう。余計な積み重なる記憶は、無駄な知識にしかなりえない。無駄に恐怖を増やす必要なんてない。だから、

だから、かみさま。



叶えられた願いと共に
(幾度巡り合おうと、私は彼等を覚えない)(そう)(幾度、巡り合おうとも)


感想(0)