小ネタ 2 | ナノ

詰合/SS
2013/11/09 00:31(0)

※短いものの集まり
※俺何忍っぽいのやら弾論みたいなのやら
※急に始まり急に終わる



頭にこびりついて、離れない言葉があった。ずっとずっと昔に、けれど今よりも先の時代じゃない時に言われた言葉だ。どこの誰だったのか、性別も名前も、いつ言われたのかも覚えてない。けれど、ずっと脳みそにこびりついて、離れていない言葉だ。

―――貴方、寂しくないの?

喋り方的に、女だと思ってる。どっかの女。声も顔も覚えてないから、予想でしかないけど。けれど、今でも色濃く残るその文面は、頭からこびりついて離れようとしてくれなかったのだ。単純な問いかけ。そう言ってしまえばそれまでなのだけれど、そうじゃない。俺様の深読みのしすぎなのかもしれないとは思ったけれど、そうじゃ、なかったんだ。

「…寂しくないよ。だって、寂しいなんて、そんなもの。」



そんなもの、昔の自分と一緒に、忘れちゃったんだから。


ゆるく開いた目に映る
(もう昔の自分を、思い出せないんだよ。)(まぁ何も感じないけどね)


*


明るい光を眩しいと思い始めたのは、一体いつの頃だっただろうか。そこまで厨二がかっているつもりはなかったのだけれど、案外とんでもなくかかっていたらしい。これは悲しいことだ。あいつにバレたら、絶対思いっきり馬鹿にされてしまう。

「…あり、あいつってどいつ?」

少し考えて、そしてやめた。すぐに思い出したけれど、やめようと思ったときにはもう思い出していたけれど、もうやめよう。忘れたものを思い出すことは、もう、やめてしまおう。うんうん、そのほうが、断然いいに決まっている。

うんうんと1人頷いて、暗い暗い闇に溶け込む。

もう、眩しいものは忘れてしまった方がいいんだと。ずっと知っていたのだから。



拝啓、忘却の彼方よ。
(全てはそう)(代わりに変えられるのです!)


*


「…あー、悪いけど、世界に絶望するほど世界に期待してないし、世界に希望を持つほど世界を信じていないから」
「…じゃあ、アンタはどうするの?」
「生きるよ」

はっきりとした声で、意思で唱える。思わず口角が上がるのを隠しもせずに、続けて問いかけた。

「絶望と希望しかない世界で?」
「世界で。だって、死にたくないから。」
「生きてる方がもっと辛くなーい?」
「死ぬほど痛い思いするくらいなら、滑稽に笑いながら順応してやろっかなって」


だから、心配しなくていいよ。貴方は貴方の世界を、私は私の世界を、好きなようにいじくりまわすのだから。


希望と絶望の狭間で笑う人間様
(恐くても辛くても苦しくても)(生きたいんだから仕方ない)


*


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