小ネタ 2 | ナノ

弾論/ひとりぼっちはさみしいもの
2013/08/20 16:12(0)

※ほんのり雰囲気ネタバレ
※急にはじまり急におわる



ばたばたとみんなが駆けていく中、出遅れたこともありみんなよりも一歩離れたところでそれを見ていた。
鼻につく鉄の匂い。その発生所は、二カ所。そのうちひとつは人間の匂いに埋もれ気味ではあるけれど、もうひとつを視界に入れて、少しだけ寂しくなった。
ポツンと倒れている彼は、もう絶命している。起き上がることも、息を吹き返すこともないほどに完全に絶命している。生きているものの近くに寄るのは、人間の本能だろう。死の匂いを厭い、生に縋る。絶命しているその存在を気にかける気にもならない。気にかけたところで、もう彼はそれを理解できる心さえもない。

それでもやっぱり、寂しいじゃないか。

エゴでしかない感情を抱えたまま、みんなから少し離れた、もうひとつの鉄の香りに近づいた。



ひとりぼっちはさびしいもの
(最初からひとりぼっちだったら)(寂しくなかったのにね)

***
独白です。Chapter3の山田くんが息を吹き替えしたあたりのイメージです。


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