青祓/こんなにも世界は素晴らしい
2012/02/21 06:30(
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※青エク
※急にはじまり急に終わる
『こわい、よ』
小さく漏らされた言葉は、今の感情をそのまま吐き出したような言葉そのもので。
『こわいよ』
もう一度、全く同じ言葉を吐き出す彼に思いを寄せる。どんな表情をしてるかなんてわからない。背中合わせ。今私達の格好を現すとしたらそんな常態だからだ。
こわい
今思えば、彼が一番最初に吐いた危険信号だったのかもしれない。
『怖いんだ、自分が自分でなくなるのが。辛いんだ、俺は俺なのに俺と認めて貰えないのが。嫌なんだ、押さえの利かない自分の力が。』
『へぇー』
『ずっと普通に育てられてきたのに、ずっと普通に育ちたかったのに。何が悪魔だよ、何が祓魔師だよ!………そんな夢物語、なんで、現実に…持ってくるんだよ…!』
もう、いやだよ。
まもってまもってまもって、きらわれてまたまもって。
なんで、こんなに、がんばらなきゃいけないんだ。
『それは、きみが夢物語の“主人公”で、きみが大悪魔の“息子”で、根っから“守る側の人間”だからじゃないかな』
『………おれは、主人公になんか、なれやしない…主人公なら、親父だって…死ななかった!』
『それは“主人公”が全てを自覚するためのシナリオの一部にしか過ぎないから、最初から決まっていたストーリー。彼が死んできみは全てを知り世界が反転した。つまりは、そうゆうこと』
『…最初から、全部決まってたとでも、言うのかよ』
『わからない。私は神じゃないから。でも、想像はできるし同情もできる。まぁ、同情なんていらないだろうけどね』
『……………』
『………、ねぇ。そんなに嫌ならさ』
交換してみる?
わたしと、あなたの“魂”を。
彼はゆっくりとこちらを向き、泣いて嗤った。気がした。「…………懐かしい、“ユメ”」
見慣れた天井から目を逸らし、ベッドから起き上がる。
時計を見てみれば起きるには少し早い時間だったが寝る気にもなれなかったのでとりあえず顔を洗いにいくことに。
それにしても、本当。
なんて懐かしいんだ。
「元気にしてるかなぁ……“彼女”は」
全てが反転して、無くなった世界。
全てが反転するように、無くなるようになった原因の内の1人の女の子。
願いが叶った彼女は、今もどこかで笑っているのだろうか?
「…俺が気にすることでもない、か。」
彼女は記憶を失ったから、もう彼女と呼んでいいのかもわからない。
俺は記憶を引き継いだけど、俺自身を彼と呼んでいいのかもわからない。
世の中、わからないことだらけだ。
嘲笑うように、一回だけ嗤って。
俺を探している弟の声に、一つ。返事をした。
世界は反転して暗転していったのだ
(彼は彼女に)
(彼女は彼に)
(ああ、)
(世界は今日も素晴らしい)
***
よくわからない作品になりました。
思いのまま書いていったらこうなりました。
でも反省も後悔もしてません←
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