「新ちゃーん!」
「ぁん?」
「今日は何の日だ?」
「へ?ああ、七夕だろ?」
「じゃあ短冊にお願い事書こっ!」
「別にいーけど、笹がねーから飾れねぇじゃねーか」
「あ、そっかぁ…残念…」
「…あ、そうだ!」
「え?」
「今からあの丘行くぞ!」
「え?何で?もう夜遅いよ?」
「いーから早く!」
「あ、ちょっ!」
「あら、新ちゃんと名前ちゃんこんな時間にどこ行くの?」
「あのね有希ちゃん!この前新ちゃんがプロふがっ!」
「え?新ちゃんがぷろふが?」
「な、な、何でもねぇよ母さん!それよりすぐ帰ってくっから鍵開けといてくれよ!」
「あ、行ってらっしゃい…」
――――――
「きゃー!新ちゃん、新ちゃん!この前新ちゃんと約束した丘にいっぱい笹が生えてるっ!」
「ああ、ここに笹が生えてた事さっき思い出したんだ」
「すごいね新ちゃん!これなら短冊500枚くらい飾れるよ!」
「…そんなに書くモンじゃねーだろ」
「そうだ!お願い事書かないとっ!」
「…オメー何て書くんだ?」
「えへへ内緒!」
「んだよそれ教えろよ!」
「…じゃあ、新ちゃんのお願い事何にするのか教えてくれたらいーよ?」
「えっ!?あー…」
「…」
「…」
「新ちゃん?」
「…ように」
「えっ?なに?」
「っ、だーかーら!オメーと夫婦になれますようにだっ!!早くオメーも教えろよっ!!」
「あっ、忘れてた!それも書かないとだね!」
「は!?わ、忘れてたって…オメー何書こうとしてたんだよ!?」
「何って…また新ちゃんと巡り逢えますように…だよ?」
「あ……そっ、か」
「うん!…あ、天の川が見えるよ新ちゃん!」
「え?あ…ほんとだ…」
「初めて見た〜…キレイ…」
「…」
「…」
「……なぁ名前」
「うん?」
「…俺はさ、オメーに1年に1回帰ってこいとか、そーゆー事は言わねぇから…」
「えー何で?」
「…信じてっから」
「…え?」
「またオメーとぜってー出逢えるって信じてるから…」
「…新ちゃん…」
「だから敢えてそーゆー約束はしねぇ」
「…うん」
「でも…毎年7月7日夜9時になったら、俺はここに来て空を見上げるから…。だからオメーも、これだけは約束してくれねぇか?7月7日の朝8時に空を見上げるって…」
「え、空を…?」
「そしたらさ、彦星と織姫みてーに会えた気になるだろ?」
「…新ちゃん大好きっ!」
「わっ!」
「えへへ…」
「ったく…約束だからな?」
「うん、約束ね!」
―――――
「そういえば何で朝の8時なの?」
「バーロォ、アメリカと日本じゃ時差があんだろ?七夕はちょうどサマータイムだから13時間の差があるんだよ」
「あ、そっか!時差の事忘れてた!」
「……(こいつ、忘れそうだな)」